5thプリウス登場も「BEVシフト混迷期」である訳 電動化戦略を見直さざるをえないメーカーの今

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本法案については、自動車産業界からBEVなど電動車向けの税額控除の対象が厳格すぎて、「現状では新車の約7割が対象外になるため受け入れがたい」といった指摘がある。

これを踏まえて、アメリカ市場での販売台数が多い日系メーカー各社は、今後の対応策を社内で協議しているようだ。筆者との意見交換の中でも、そう指摘する日系自動車メーカー関係者が少なくない。

ヨーロッパにおけるこうしたカーボンニュートラル関連の規制や法案には、欧州グリーンディール政策の一環である「フィット・フォー・55」がある。

この中では、乗用車と小型商用車でのCO2削減量を2021年比で2030年に55%、また同2035年に100%としており、ヨーロッパ市場でのBEVシフトの加速やバッテリー規制はこうした動きが具体化した一例だと言える。

迫られるレギュレーションマッチング

欧州連合(EU)と欧州議会は2022年10月に、欧州委員会が2021年7月に提案した「フィット・フォー・55」等について合意している。

また、アメリカでは2021年8月にバイデン大統領が「2035年までに新車50%以上を(ハイブリッド車は含まず、プラグインハイブリッド車を含む)電動化する」という大統領令を発令しており、それがIRAに大きな影響を与えていることは明らかだ。

新型「プリウス」にはPHEVも用意される(写真:トヨタ自動車)

つまり、トヨタを含む日系自動車メーカー各社は今、欧米による政治的な思惑による環境対応を念頭に置いた産業構造転換に対する、レギュレーションマッチング(規制への適合)にやっきになっている状況だと言えるだろう。また、中国のNEV(新エネルギー車)政策の“次の一手”についても、日系自動車メーカー各社は細心の注意を払っているところである。

最後に、話を新型プリウスに戻すと、こうしたグローバルでの「BEVシフト混迷期」において、ユーザー目線では充電設備などのインフラに対する心配もいらず、量産効果によって高性能でも比較的価格を抑えるであろう(価格は未発表)新型プリウスは、美しくてカッコいい愛車として、“次の1台”の有力候補になるのではないだろうか。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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