11月の発表が「マツダの覚悟」を示したと見る訳 3つの新会社とそれを支える地元企業との共生
「ひと中心」というフレーズは近年、マツダのみならず自動車メーカーや自動車部品メーカーなど、自動車産業界での常套句になっているように感じる。また、国や地方自治体によるモビリティをともなう社会変革の施策においても、「ひと中心」という語彙がちりばめられていることが増えていると思う。
だが、企業でも行政機関でも、その多くが一般論として「ひと中心」という言葉を使うにとどまっており、具体性に欠けて実効性をともなっていないことが多い。
一方、マツダが言う「ひと中心」は、顧客に対しての言葉であることは当然のうえで、クルマの作り手として、またクルマを顧客に届ける立場として、関係者が一丸となり共通認識を持とうという“ひととしての姿勢”を感じる。
こうした点についての具体的な例として、今回の「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について」発表前後のマツダ関連イベントで、筆者が実際に感じたことを紹介したい。
まずは3年ぶりに開催された、顧客向けのマツダ本社によるイベント「MAZDA FAN FESTA 2022 IN OKAYAMA」(2022年11月5日~6日)だ。
マツダ社員が「楽しい」と語るワケ
岡山国際サーキットで開催されたこのイベントでは、マツダ車オーナーが愛車で参加する走行プログラムやパレード走行、ドライビングシミュレーターなどを使う各種eスポーツ、子ども向けの自転車体験競技、親子で気軽に楽しめるラジコン体験、ヒストリックカー展示、ペーパークラフト作り体験など、趣向を凝らしたさまざまなコンテンツが用意された。
イベントの運営はマツダ本社が行い、作業にあたるのはマツダの社員である。また、マツダの50代の役員4人が「ロードスター」のドライバーとしてミニ耐久レースに出場した。
筆者はイベント開催の2日間、運営にかかわる多くのマツダ社員と話をしたが、皆「ここにいることが楽しい」と言う。「マツダを愛するお客様と直接、話ができることがうれしい」、また「お客様にマツダを通じて楽しい時間を過ごしてもらいたい」という声がとても多かったことが、その「楽しい」と言う背景にあるのだろう。
そうした言葉は、いわゆる営業トークや、取材者に対する配慮をしたような形式的なものではなく、皆が自分の言葉としてしっかりと話していることが印象的だった。
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