「5代目プリウス」いち早く乗ってわかった超進化 一目惚れするデザインと虜にさせる走りは本物か

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プリウス(2.0 HEV プロトタイプ)
プリウス(2.0 HEV プロトタイプ)

これまでのプリウスは一般的なクルマ好きには関係のないモデルの代名詞だったと思うが、新型となる5代目プリウスはクルマ好きにとって初めて自分事になるプリウスに生まれ変わったと思っている。更に加えて12代目カローラが新時代のスタンダードになったことで、プリウスのキャラクターに振り幅ができたことも大きい。この辺りは“群”でビジネスを行う最新のトヨタラインアップがここでも活きている。

今回HEVの実力を知っただけに、後日試乗予定で5代目プリウスの本命と言われているPHEVには期待しかない。とはいえ、このプリウスを個人オーナーに愛車として積極的に選んでもらうために、個人的にはもう少し尖った個性を与えたモデルがあってもいいと思っている。

あくまで個人的意見と断るが、例えば「HEVはオワコン」と言っているような人を黙らせるパフォーマンスを備えた高性能PHEV……GRプリウスなどがあってもいい。GRのオリジナルモデルは内燃機関モデルしかないので、「あのプリウスが!!」というインパクトでトヨタの電動化の本気がもっと伝わるだろう。

5代目プリウス開発秘話

最後にプリウスはなぜここまで変われたのか? 開発責任者の大矢賢樹氏にズバリ聞いてみると、このように答えてくれた。

「これまでのプリウスのイメージを払拭したい、そして愛車にするためにはどうすべきかを本気で議論してきました。当初はプリウス廃止案もあったので。われわれが目指したのは、『プリウスを名乗るからには環境性能が高いのは当たり前、そのうえでこれまでプリウスに欠けていた『一目ぼれさせるデザイン』と『虜にさせる走り』をプラスすること……つまり単なるエコカーではなくクルマとしての総合力を高めるべきだと。

そのためには基本素性の良さやTNGAの熟成が大きかったですが、いちばんは『開発の進め方』を変えたことです。従来は極端に言うと領域ベストを最後に整える……つまり対処療法でしたが、新型はクルマベストを目指すべく『ワンチーム開発』を実施。その結果、開発途中から領域を超えた議論や熟成が可能となり、完成度が一気に高まりました。

加えて、開発や生産技術のメンバーに早い段階でデザインを見てもらうことで、『このデザインに見合う走りとは?』、『このデザインを実現させるためには?』と言ったようなスタッフの方向性の統一ができたことも大きかったですね」と。

豊田社長は「できないからやる、それが挑戦」と語っているが、新型プリウスはまさにそれが色濃く反映された1台と言えるだろう。名付けて「プリウス・セカンドシーズン」の幕開けである。

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山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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