このように走りはスポーティな方向だが、快適性も先代よりもレベルアップしている。サーキットはフラットな路面なので試乗中に意図的に縁石を跨いで走らせてみると、ギャップを乗り越える際のアタリの優しさだけでなく、いかなる時も乗員を揺さぶらせないバネ上のフラット感の高さが印象的だった。
この辺りはボディ剛性やタイヤのたわみを上手に活用するサスペンションの味付けに加えて乗員を面で支えながらホールドするシート構造などの連携によるものだろう。乗り心地はどうか。17インチはギャップを包み込むような柔らかさ、19インチは17インチよりわずかに引き締められているがエアボリュームが小さいタイヤとは思えないいなし方で、思わず電子制御ダンパー付きだと勘違いしてしまったくらい良かった。
FFとAWDの味付けの違い
FFとAWDの違いはどうか? 一言で言うとオンロード性能での強い武器になっている。具体的にはFFよりもドッシリと構えたリアの安定性を持っているのと、コーナリング時に旋回軸が少し後ろ……つまりドライバー側に下がったイメージで、より4つのタイヤを上手に使いながら曲がる印象だ。
特に2.0Lは高出力なパワートレインを活かしスロットル……つまり駆動力で曲げることも可能でコーナーがより気持ちいい。1.8Lはそこまでではないが、FFモデルより楽に旋回ができるようになっている。クルマの動きは車両重量や前後バランスも変わっており、どちらかというと軽快な動きをしているFFに対して重厚な印象を受けた。
パワートレインとのバランスという意味で言えば、2.0LはFFよりも安定感が高く個人的には新型プリウスの中ではベストマッチ、逆に1.8Lはちょっと鈍重な動きになってしまうためFFのほうがマッチングは良さそうに感じた。
これらの印象から総じて言うと、5代目プリウスは「このクルマを従来のプリウスと延長線上で考えていいかどうか悩んでしまうくらい」のモデルに仕上がっている。実は試乗前は4→5代目の進化はTNGAという基本要素は変わらないこと、さらにプリウスというキャラクターから「見た目負け」していないか不安だったが、乗ればその差は歴然。それどころか、非TNGA→TNGAだった3→4代目の伸びしろよりも上だと感じた。
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