苦手意識は顔に出ると書きましたが、もとより人間はすべてが顔に出ていると私は感じます。明るい人はそういう顔つきをしているし、暗い人はそういう顔つきです。
教養のある人は、教養のある顔つきをしているし、努力家の人は、努力家の顔つきをしている。一方で、怠け者の人は、怠け者の顔つきをしているし、卑屈な人は卑屈な顔つきをしている。意地悪な人、弱気な人も、それは顔つきに表れる。 何となくイメージできる、という人もおられるのではないでしょうか。 人間にはもっと複雑な側面があるのもたしかですが、何となくその人が持つ特徴が顔つきに表れているということに気づいている人は、多いと思うのです。
うまくいく人には、うまくいきそうな顔つき
ありがたいことに、私は何千人も取材をさせてもらう仕事をしてきたこともあって、たくさんの「顔つき」を見てきました。やはり、うまくいっている人にはうまくいっていそうな人の顔つきがあるし、トラブルに巻き込まれている人にはトラブルに巻き込まれていそうな顔つきがある。そんな印象を強く持ちます。
自覚できるようになったのは大人になってからですが、振り返れば、昔から友達も知らず識らずのうちに顔つきで選んでいたように思います。すなわち、直感です。
しかし、結果的にこれは正しい選択だったと思います。なぜなら、幸いにも30年、40年、50年と長く付き合ってくれている友達ばかりなのです。定期的に会ったりするわけではありませんが、連絡をすれば、いつでも会える。そんな関係性の友達が多い。それは、「顔つきで選ぶ」という直感が正しかったからだと思います。
友達とは、極めて大事な存在です。28歳で失業して何もかも失ったとき、何人もの友人が助けてくれました。あからさまに慰めるわけではありません。当たり前のようにやってきて、みんなで大騒ぎして帰っていく。私にとって、それがどれほどの励ましになったか。クヨクヨしている場合ではない、と思い知らされたのでした。
友達を選ぶとき、見るべきは顔つきであり、大事にすべきは直感。これは裏を返せば、自分も相手から見られている、ということでもあります。
自分がどんな顔つきをしているのかは、自分ではわからないかもしれません。しかし、すべては顔に出ているのです。どんなに取り繕っても、ごまかしようがない。
だからこそ、誰にも恥じるところのないように、きちんと生きなければいけない、ということです。いくら言葉ではきれいごとを並べても、心の中で考えていること、あるいは人が見ていないところでの行動、そういうものは、知らず識らずのうちに、顔つきに出てしまう可能性が高いから。そして自分も、顔つきで選ばれているのです。
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