ひろゆきの「4chan」、日本人が知らない危険性 アメリカでは銃乱射と憎悪犯罪の温床に
「支払わなければ死刑になるのなら支払うが、支払わなくても僕に何かが起きるわけじゃないから支払わない」。西村は2007年、法廷審問の後で報道陣にそう語っている。
ひろゆきをよく知る人物が語る「実像」
西村にとっては、2ちゃんねるにまつわるほかのあらゆることと同じく、訴訟をはぐらかすことも「ゲームにすぎない」と、西村と長年にわたり2ちゃんねる関連のプロジェクトで密接な関係にあった深水英一郎は証言する。深水は会社資金を横領したと西村に言われたのを受け、西村を名誉毀損で訴え、勝訴した人物だ。
西村は法や規制をかいくぐる方法を考えるのに膨大な時間を費やしていたと深水は言う。2ちゃんねるのサーバーは日本の法律の手が届かないアメリカに置かれ、西村は課税を免れるために「2チャンネルは宗教法人だ」と宣言することも考えていた時期があると深水は語った。
「彼はいつもルール違反すれすれのところで動いていた」と深水。
2013年、西村は長年の友人で後に「8chan(ちゃん)」のオーナーとなるジム・ワトキンスと揉め、2ちゃんねるの運営権を失った。8ちゃんは、4ちゃんの規制をさらに緩めたような匿名掲示板だ。これにより西村は、収入と影響力の重要な源泉を一気に失うこととなった。
西村がクリストファー・プールというアメリカ人から4ちゃんを買収したのは、その約2年後だ。4ちゃんはリックロールやロルキャット(LOL猫)といった初期のインターネットミーム(流行ネタ)が生まれた場所だが、ダークな側面も持っていた。
ビデオゲーム業界の女性に対し殺害やレイプの脅迫が大量に行われる原因となったゲーマーゲートと呼ばれるハラスメント・キャンペーンや、女性蔑視のインセル(非モテ男)文化を生み出した場所でもあるからだ。
プールは2014年には疲れ果ててしまい、4ちゃんの売り先を探すようになっていた。そこに興味を示したのが、西村だった。