ある一流ホテルのケーキも、やはり「ホイップクリーム」を使っているそうです。
つくっているシェフに直接聞いたところ、その配合は「植物性油脂が27%」で「生クリームが18%」だというのです。一流ホテルの中にも「『植物性油脂』の比重のほうが多いクリーム」を使っているところもあるということです。
「一流ホテルがこういうものを出すのか……」と驚きましたが、お客さんは「生クリームのケーキ」だと思って食べているのでしょう。
では、なぜ「生クリームだけ」でつくらないのでしょうか?
一番の理由は「コスト」です。「生クリーム」を使うより「植物性油脂」の入ったクリームを使ったほうが、はるかに安くつくのです。
もうひとつは「製造過程における利便性」です。
「生クリーム」だけだと、絞ったときにヘタって、形が保持しづらいのです。
これが「③ホイップクリーム」であれば、「乳化剤」の作用で、「絞った形」が維持され、「固くてしっかりしたデコレーション」がつくれるのです。
また冷凍して保管するときの「耐冷凍性」も、「乳化剤」を使った「ホイップクリーム」のほうが高いのです。クリームがヘタったりボサボサになったりするのを「乳化剤」が防いでくれるからです。
「スポンジ」にも使われる「大量の乳化剤」
クリームの「乳化剤」および「安全性」の話をしてきましたが、今度は「スポンジ」にも目を転じてみましょう。
「市販のケーキ」はスポンジにも「乳化剤」が使われます。これはもう絶対といっていいほど使われます。
まず「乳化剤」を使うことで、生地に「小さな泡」を立たせることができ、しっとりふんわりしたスポンジができます。
時々、市販のケーキで「口当たりが重いな」と感じるものがありますが、あれは「乳化剤」の使い方がヘタなのだと思います。
また「乳化剤」は、スポンジを冷凍する際にも不可欠です。これは後で述べます。
ちなみに「乳化剤」にも「グリセリン脂肪酸エステル」「カゼインNa」「レシチン」など、いろいろ種類があり、「クリーム用」「スポンジ用」と細かく用途が分かれているのを使い分けるのです。
たった1つのケーキに「クリームで10種類」「スポンジで10種類」、合計20種類ほどが使われることも珍しくありません。でも表示は「乳化剤」とひとこと書けばOKです。
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