22年ヒットドラマに共通する「信用」という法則 「鎌倉殿」「silent」「エルピス」なぜウケた?
年の瀬、2022年のテレビドラマを振り返ってみると、いよいよテレビでドラマを見る価値が変わってきていることを感じる。世帯視聴率が人気の指標ではなくなり、SNSでの盛り上がりや配信での再生数が重視されるため、リアルタイム視聴はさておき、作品の認知度、人気度をいかにあげるかに勢力を注いでいる印象だ。
だが、たとえ指標がSNSや配信の反応に移ったとしても、つまるところ大事なことはその作品に対する「信用」である。信頼性が作品の親しみにつながっていく。
当たり前のことだが、2022年は改めて「信用」がテレビドラマのキーワードになったと感じる。「信用」という点で印象的だったテレビドラマが暮れに3作揃った。これらを例にあげ、これからのドラマのあり方を考えてみたい。
1:三谷幸喜は裏切らない『鎌倉殿の13人』
2:「ちゃんとつくればちゃんと届く」『silent』
3:忖度に抗った問題作『エルピス』
“参加できる”ドラマで視聴者を盛り上げた
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)は、12月18日(日)に最終回を迎えた。裏番組に「M-1グランプリ」という強敵があったにもかかわらず、世帯視聴率14.8%(関東地区)で有終の美を飾った。成功要因のひとつは、ファンサービスに徹したことだろう。
三谷幸喜の描く大河3作目ということで、三谷大河ファンの信頼性や期待が高く、三谷もその期待を裏切らない見応えある娯楽をつくり上げた。
当初は北条義時をダークヒーローとして、周囲を陥れてのし上がっていく話のように広報されていたため、一時は陰惨すぎないかと心配されかかったこともあった。しかし最終的には、家族を守るために、ただただ必死だったのだと美談にして涙を誘い、とはいえ悪いことにはどんな理由があっても報いを受けるという倫理観も忘れなかった。
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