「女子アナ」は"人生の成功者"だという最大の誤解 ドラマ「エルピス」が描く彼女たちの生きづらさ

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エルピス
苦悩の中に生きる女子アナ・浅川恵那を演じる長澤まさみ(写真:関西テレビ『エルピス』公式サイトより)

これほどまでに“女子アナの生きづらさ”に焦点を当てた作品が、かつてあっただろうか。狭き門を通り抜けて女子アナとなり、“人生の成功者”のように扱われる彼女たちのもう一方の姿——。

関西テレビ(以下、カンテレ)制作のドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』は、それを生々しく描いている。月曜22時という、かつての『SMAP×SMAP』の時間に放送されるエンターテインメント作品でありながら、冤罪の死刑囚を救おうと奮闘するテレビ局員の姿を描くなど、東海テレビのドキュメンタリーかと感じるくらいに重厚だ。

論点は多く存在するが、長澤まさみが演じる女性アナウンサーの姿に、彼女たちの“生きづらさ”が集約されているように感じた。『エルピス』を通して見える、女子アナが置かれている状況、彼女たちとジャーナリズムとの距離、就職活動における選抜の段階から本来の役割を見失わせてしまう構造などについて論じていきたい。(文中敬称略)

女子アナが抱える「生きづらさ」

筆者は2009年にテレビ局の就活に関する著書を出して以来、各企業や大学の主催する就活講演はもとより、自身の運営する就活セミナーで多くの学生をアナウンサーとして輩出してきた。その数は100名以上に及ぶが、現在の彼女たちの年齢は20代~30代半ばあたりになる。彼女たちが抱える生きづらさと、主人公の抱えるものに重なりを感じたのである。

第2話「女子アナと死刑囚」の序盤に、こんなシーンがある。長澤まさみ演じる浅川恵那は「エナーズ・アイ」というニュースを紹介するコーナーを担当している。しかし、扱うニュースの題材を決めるのに自分の意見は取り入れられない。自分の本当に注目したニュースを提案すると、番組の男性プロデューサーに否定され、こうたしなめられる。

浅川恵那が何に注目してるかを決めるのは、浅川恵那じゃねえの。浅川恵那は、“俺らが浅川恵那が注目してることにしたいニュース”を、あたかも本当に注目してるみたいに“読む”ための人

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