"目黒蓮の意地"が昇華したドラマ「silent」の凄み "フジヒットドラマ"に共通する「3つの仕掛け」
坂元裕二を尊敬する「29歳の新人脚本家」
本作の脚本を務める生方美久は、今回が連続ドラマの脚本を執筆するのは初めての弱冠29歳の新人だ。きっかけは、2021年の第33回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞したことによる。まだその受賞作品が放送されたばかりの若手に、連ドラ、さらにオリジナル企画を任せるのはいきなりの大抜擢にも思えるが、実はこれはフジテレビの連ドラが元気だった時代の王道の手段でもある。
1987年に創設されたフジテレビヤングシナリオ大賞は、第1回の大賞受賞者が坂元裕二、第2回は野島伸司という栄えある賞。受賞者は即戦力として起用され、坂元は『東京ラブストーリー』を、野島は『101回目のプロポーズ』という大ヒット作を生み出す。それぞれ当時23歳、28歳という若さだった。今回の29歳の生方の起用は、この王道の手段を久しぶりに踏襲していると言っていい。
ほかにも同賞は『白線流し』の信本敬子、『ラブジェネレーション』の浅野妙子といった才能を輩出しているが、生方は特に坂元裕二を尊敬していることを公言している。坂元脚本の『Woman』(日本テレビ系)と『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)を年に数回は観ていると言い、「めちゃくちゃ観ているから、意識はしていないですが、影響を受けている部分はあるかもしれませんね」と語っている(『週刊文春』2022年11月3日号)。
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