22年ヒットドラマに共通する「信用」という法則 「鎌倉殿」「silent」「エルピス」なぜウケた?

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物語の構成も盤石で、主演の小栗旬以下俳優たちも魅力的で、初回からずっとSNSのトレンド上位に入っていた。また、番組がまめに取材会を催し、毎週のように多くの媒体からいっせいにインタビュー記事が出るようにしていたことも、SNSを活性化した要因であろう。終盤になると、ゆかりの地に出演者たちが出向いてトークショーを行い、地域を盛り上げた。

最終回直前のトークイベント、最終回当日にはパブリックビューイングとトークイベントをあわせた豪華キャストが集う催しを行い、それらをライブ配信。足を運べない人たちも見られるようにしたのだ。

現地、あるいはネットでイベントを見て、ネットに書き込み、リアルタイムでも見るというふうに、とにかくファンを逃さない。ともすればネガティブに傾く危険性もあるSNS を、徹底的にポジティブな方向へと動かすことに成功したのである。

最終回でネットを騒がせたのは、冒頭が来年放送の『どうする家康』とつながっていたことである。徳川家康が鎌倉幕府の公式文書「吾妻鑑」の愛読者であったことから、家康(松本潤)がそれを読んで「承久の乱」の結末を楽しみにしている姿が描かれた。

クレジットに家康=松本潤、脚本協力=古沢良太とまで入るほどで、大河ドラマとは国民を巻き込んだイベントであることを感じさせた。

大河ドラマは来年で放送60年。個別のドラマとして楽しむのみならず、シリーズのファンだという層も多いため、こういう遊びが通用する。とりわけ、ネットユーザーはこういう遊びが大好きだから盛り上がった。日曜日、家族で楽しむドラマは“参加できるイベント”とのあわせ技が有効のようだ。

“早送りできない” 恋愛ドラマが刺さった

2:「ちゃんとつくればちゃんと届く」『silent』

恋愛ドラマは当たらないと言われる近年、恋愛ドラマ『silent』(フジテレビ)が若い層を中心に盛り上がった。

再会した恋人は音のない世界で生きていて、過去とは違うやり方(手話)で会話しながら再び近づいていく二人と、彼らを取り巻く人たちの揺れる心をやわらかく描いたドラマ。世帯視聴率としては、さほどでもないながら配信が好調で、Twitterでもトレンド上位に。社会現象とまで言われるほどになった。

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