DeNAと任天堂、「スマホ弱者連合」の行方 ガラケーと専用機、ゲームの覇者が方針転換

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DeNAの守安社長(右)は任天堂の岩田社長(左)に、5年前からラブコールを送り続けていた

ハードが売れなければソフトも売れないため、外部のソフト開発会社も、任天堂向けの新作ゲームの開発を躊躇してしまう。その先にあるのはさらなるユーザー離れだ。

こうした中、今秋には会員制のユーザーサービスを刷新。DeNAとの共同開発で、ゲームアプリや家庭用ゲーム機、16年発表予定の新型ゲーム機などと連携させ、個々のユーザーごとに情報を管理・運用するプラットフォームへ切り替える。スマホからゲーム専用機への“送客”を促すことで、ゲーム人口の拡大につなげる狙いがある。

DeNAの守安功社長が、自社のゲームプラットフォーム「モバゲー」で任天堂キャラクターのゲームを展開するために、岩田社長にラブコールを送り始めたのは、10年6月までさかのぼる。

早すぎるスマホ時代のスピード

当時はソーシャルゲームでわが世の春を謳歌していたが、スマホシフトが遅れたことで、DeNAも近年は業績低迷に苦しんできた。岩田社長は「守安さんが『黒子になっても構わない』と話したことがあり、われわれの戦略オプションが増えた」と語ったが、DeNAがプラットフォーム戦略を転換していなければ、提携は実現しなかったのかもしれない。

「かつて家庭用ゲーム機で10年かけて起こった変化が、(スマホでは)2年くらいのスピードで起こっている」(岩田社長)。やっと決断したスマホ展開は吉と出るか。

「週刊東洋経済」2015年3月28日号<23日発売>「核心リポート04」を転載)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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