DeNAと任天堂、「スマホ弱者連合」の行方

ガラケーと専用機、ゲームの覇者が方針転換

「スマホと専用機に懸け橋をかけたい」と語る任天堂の岩田聡社長(右)。左はDeNAの守安功社長(撮影:今井 康一)

ついに重い腰を上げた。任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)は3月17日、資本業務提携を発表。スマートフォン向けゲームアプリの共同開発・運用に加え、スマホなど複数端末に対応する会員制サービスの共同開発に乗り出す。任天堂は4月に220億円を投じてDeNA株を10%超取得する一方、自己株1.24%を220億円でDeNAに譲渡する。

数年前から任天堂はスマホ向けゲームをかたくなに拒み続けてきた。直近2月の決算説明会でも、「スマートデバイスには物理的なボタンがない。『スーパーマリオ』などを楽しく遊べない」と、岩田聡社長は言い切っていた。

しかし、17日の会見の席上では一転、「任天堂なりの答えが出せた。絶対の勝算を持って臨みたい」「億単位のお客様に楽しんでいただく」など、壮大な目標を饒舌に語り続けた。年内にはスーパーマリオに代表される、任天堂キャラクターを活用したスマホゲームを順次配信する予定だ。

ゲーム専用機での成功神話

今回の提携は、任天堂にとって大きな決断となる。これまでスマホ向けゲームに慎重だったのは、「宮本茂専務が率いるソフト開発部門がスマホゲームに関心を示さないことが大きな理由だった」(任天堂社員)。一方、岩田社長は「テレビゲームしか作ってはいけない会社だと、社内の人間が思い込みすぎている」と漏らすなど、改革の必要性を痛感していた。かねてからスマホアプリの開発も進めていたが、「社内では無理と判断」(任天堂幹部)。昨夏ごろからDeNAと協議を重ねてきた。

任天堂がスマホ展開を決断した目的は、家庭用ゲーム機の衰退をとどめることにほかならない。「スマートデバイスとゲーム専用機の間に懸け橋をかけたい」、と岩田社長が会見で何度も強調したように、スマホを活用して任天堂ファンを増やさなければ先細りが見えている。

2014年10月には収益柱の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を刷新したが、ハード・ソフトともに前年比で減少が続く。据え置き型ゲーム機「WiiU」の累計販売台数も920万台と過去最悪ペースで推移している。

次ページDeNAが5年前からラブコール
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 財新
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
人気の動画
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人材戦略から儲けのからくり<br>まで コンサル全解明

人材の争奪戦が過熱し、年収水準もうなぎ登りに。デジタル化を背景にコンサルティング業界は空前の活況を呈しています。本特集ではコンサル業界の動向やビジネスモデルを徹底解説。コンサル会社を賢く選び、上手に活用していくノウハウを紹介します。

東洋経済education×ICT