1377人逮捕「香港理工大包囲事件」現場で見た衝撃 学内でその様子を撮影した監督に話を聞く
複雑な社会背景の中で、より自分たちの住んでいる場所である香港の文化を守りたいという気持ちが他の世代に比べて強いのかもしれません。
そのことが、2019年4月に犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする逃亡犯条例改定案が議会に上がったときに、デモへと駆り立てたのではないでしょうか。中国に移送される恐怖をほかの世代よりも敏感に感じ取っていたと思います。
――香港のデモは2020年に入って始まったコロナ禍により、デモそのものができなくなってしまい、鎮静化の一途を辿ってしまいました。デモに参加した人たちはその後、どうしているのでしょうか。
デモのリーダー格の人たちの多くは出国したか、当局によって刑務所に入れられたかのどちらかです。
では香港に残った人たちがどのような生活をしているかということについては、むしろ私たちが知りたい、知って取り上げたいという気持ちです。これから調査したいと思っています。
一時的ではあるかもしれませんが、絶望して、香港の政治的な出来事から意識してすべて離れるという人もいるでしょう。また、いわゆる「ブタ(港猪/香港の豚の意味)」になった人(=政治に無関心になった人)もいるかもしれません。
でもそれは一時的なもので、例えばコロナが完全に収束したり、もしくは2019年に起こったデモのような大きな出来事があったとき、また覚醒して再度姿を現すのではないかと。そこは希望も込めてそのように思っています。
子どもの将来を考えて移住する人
――人材の海外流出は進んでいると思いますか。
全員が香港を離れようとしているわけではありません。ただ、現実に人材流出は起きているとは思います。
台湾やイギリスに移住した人もいました。あくまで自分の肌感覚ですが、やはり高学歴でスキルがあり、どこの国でも働ける人や、子どものいる人が彼らの将来を案じて香港を離れるという決断をする人が多いです。
一方で、とても有能な人が香港に残っていることも事実で、こういう時期だからこそと、お互いに支え合ったり、励まし合っている人たちもいます。
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