1377人逮捕「香港理工大包囲事件」現場で見た衝撃 学内でその様子を撮影した監督に話を聞く

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香港理工大、デモ当時の様子(C) Hong Kong Documentary Filmmakers
2019年11月、香港で発生した逃亡犯条例改正反対デモで最多となる1377 名の逮捕者を出した香港理工大学包囲事件。デモ参加者として学内でその様子を撮影した『理大囲城』は香港では上映禁止となったものの、世界の映画祭を席巻。今回は、同作品を監督した「香港ドキュメンタリー映画工作者」に撮影時のエピソードや現在の香港の様子について話を聞いた。

 

【あらすじ】
香港屈指の繁華街にある香港理工大学を警官隊が包囲し、デモ隊と学生はキャンパスで13 日間に及ぶ籠城を余儀なくされた。警察とデモ隊たちの激しい攻防によりキャンパスには火の手が上がる中、デモ隊は「残るか、去るか」の決断を迫られる。個人情報と引き換えに警察が投降を迫る中、暴動罪で逮捕されれば懲役 10 年を課せられる恐怖と仲間を裏切る後ろめたさによって、デモ隊の心はかき乱される……。ロープを使い橋から飛び降り支援者のバイクで脱出する者、下水道から脱出する者、最後まで大学に留まり戦い続けようとする者。彼らの行く手に待つものは――

――香港理工大学(以下、「理大」)に籠城していたのは若い世代だと思うのですが、日本でも1960年代後半と1970年代後半に学生運動が、また北京では1989年に多くの若者たちが命を落とした天安門事件があり、いずれも敗北に終わっています。彼らはそのことは意識していたのでしょうか。

日本もしかり、中国もしかり、彼らは政府に対する抵抗運動が敗北に終わったケースがたくさんあるのはわかっていました。

でも、「失敗するのをわかりながらも戦わなくてはいけない」という気持ちが学生たちの中にあったんです。

当初は「Be Water」というキャッチフレーズが付くぐらいにデモ隊は縦横無尽に街中を占拠しており、それは文字通りまるで水のようでした。

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