肩書きを重視するチームが「成果」を出せない理由 役職上がるとイスの形が変化、謎ルールの無意味

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先日、学生たちを連れてアメリカ・シリコンバレー(カリフォルニア州)に行ってきた。アメリカは多様性の国だ。人種も出身地も性別も年齢も、「みんな違ってみんないい」が徹底している。

特に感じたのは、70歳を過ぎても、別にシニアだからどう、という言い訳もなく、「新しい事業をこんな風につくりたい」と嬉々として話していた起業家に複数出会ったときだ。日本だと、「年齢相応に……」ということがすぐに出てくるが、年齢に限らずすべてにおいて、人間の属性で縛られ、同質化することがなかった。

これこそが成長の要素なのではないか。同じ意見ばかりのチームより、さまざまな意見が飛び交うチームのほうが面白いし、新しいことが生まれやすくなるだろう。だから、多様性こそがイノベーションの源泉であり、成長の原動力だ。そういう社会を私たちは生きているのだ。

正しいプロセス、勝ち筋は、みんなでつくっていく

『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします 

考えてみてほしい。チームリーダーのあなたは、チームの目標へのプロセスをはっきりと理解しているだろうか。「正解」となる勝ち筋が見えているだろうか。そうであれば問題ない。

しかし多くの場合、「自分一人でわかるはずがない」と感じているのではなかろうか。もちろん、リーダーが信じるビジョンはあるだろう。しかし、そこに向かう道筋には、正解がない。

VUCA(※)と言われる複雑な現代社会においては、チームは、「なんでも知っているリーダー」が一人で正しいプロセスを導けるほど簡単なものではなくなっている。正しいプロセス、正しい勝ち筋は、みんなでつくっていくのだ。そのために、メンバー一人ひとりの意見が活発に飛び交う「フラットなチーム」をつくっていこう。

(※)Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、予測困難な状況を表す。
伊藤 羊一 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長

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いとう よういち / Yoichi Ito

アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行う。代表作「1分で話せ」は60万部のベストセラーに。

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