肩書きを重視するチームが「成果」を出せない理由 役職上がるとイスの形が変化、謎ルールの無意味

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一方で、現代は明らかに違うものが求められるようになってきた。

もちろん、メーカーは引き続きモノを大量に生産する。しかし、もう大抵のモノは人々のもとに行き渡った。改善は引き続き行われるが、それに加えて「新しい価値」が求められるし、「なぜそれをやるのか?」という意味(パーパス)が問われる社会になった。

そして、便利にするだけでなく、「人々の幸福(Well-being)に貢献しているか?」と問われるようになった。

これらは、「性能のよさ」のように、数値で計測できる「正解」がない。「Why」は人それぞれ違うからだ。

そして幸福(Well-being)も、一人ひとりの感じ方が違う。例えば、あなたが感じる幸せは、他のチームメンバーと同じだろうか? 幸福は、人それぞれの感じ方なのだ。

(画像:『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』)

だから、Whyが問われるようになると、一人ひとりの頭の中、心の感じ方がより重要になってくる。

ヨコの社会になるときに必要なこと

これが、「タテ(=ヒエラルキー)の社会」から「ヨコ(=フラット)の社会」への変化である。社会がこのように変化しているから、「求められる理想のチーム」も変わってくるということだ。

タテの社会においては、上意下達のコミュニケーションでよかった。そしてメンバーたちは、「正解」を「早く、正確に」やることが大事で、個性など必要なく、画一的で「黙って上司の言うことを聞く」存在であればよかった。

これがヨコの社会になると、新しい価値を生み出すために、一人ひとりの存在が大事になる。そうすると、1on1のコミュニケーションが必要とされるし、ダイバーシティ&インクルージョン(みんな違ってみんないい、の多様性を受け入れること)が求められるようになる。一人ひとりの発言が重要になる。

だから、「フラットなチーム、フラットな場」が必要になるのだ。

「ダイバーシティ&インクルージョン」が「流行り」だから、ということなのではない。そういう社会になってきているのだ。

一人ひとりが主体的に考え、言いたいことを言え、それが受け入れられていくことによってチームが成果を出していく。そういう社会になってきたのだ。

(画像:『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』)
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