ワタミ、「10年ぶり値下げ」でも拭えぬ不安 総合居酒屋の"顔"が抱える問題の本質

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和民では労務環境の改善に向けて、2月から順次、各店舗で定休日を設けており、2015年度は前期比で営業日数が減ることになる。その穴を埋めるため、営業推進部を4月に新設し、法人向けの宴会需要を取り込んでいく構えだ。

「既存店売上高で前年を上回るのは厳しいとは思うが、客数だけでも昨年並みを維持していきたい」(清水社長)

とはいえ、これらの施策を打っても楽観はできない。今回のメニューや価格の改定について、「ワタミとしては大々的なプロモーションはしない方針」(同)という。一般消費者に和民の変革をどのように認知してもらうか、答えが見えていないのが現状だ。

総合居酒屋が抱える問題点

さらに本質的な問題なのが、和民という業態そのものだ。

近年では、海鮮や肉といったメイン食材を前面に押し出した専門性の高い居酒屋が人気を集めている。

その一方、和民に代表される総合居酒屋は、どこに行っても金太郎飴のように同じ商品が提供されるため、かつての優位性が薄れ、消費者の選択肢に入らなくなっている。つまり、価格を多少上げ下げしたところで、客足が戻ってくる保証はどこにもないのだ。

野村証券の繁村京一郎シニアアナリストは「若者のアルコール離れが進む中、値下げだけで集客を図るのは難しい。アルコールに頼らない食事会としての場の提供や、コミュニケーションの場として認知させるなど、居酒屋のあり方を見直すことが必要ではないか」と指摘する。

ワタミの国内外食事業の既存店売上高は、2012年4月から35カ月連続の前年割れが続いている。値下げだけにとどまらない改革を遂行することができるか。新社長は就任1年目からその経営手腕が試されている。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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