ワタミ、「10年ぶり値下げ」でも拭えぬ不安 総合居酒屋の"顔"が抱える問題の本質
ワタミが展開する業態の中でも、炉端焼きやカジュアルレストランなど客単価が和民より高い業態は、既存店売上高が前年同月比を上回って推移している。
いわば、今、値下げに踏み切るのは業界のトレンドに逆らう策なのだ。にもかかわらず、ワタミが今回、あえて逆張りの戦略に出るのはなぜなのか。
「昨年は商品の質を向上させ、単価を引き上げたが、和民という業態に対して『安い』というイメージが消費者に根強くあった。その結果、お客様が求めるものとの間に乖離が生じてしまった」(清水社長)
実は、和民は昨年4月に平均皿単価を15%値上げしている。ところが、同年4~12月の既存店客数は前年同期比約6%減という結果になった。今年に入ってからも同様の傾向が続いている。2月は前年に大雪が降った反動で既存店客数が前年同月比でプラスになった外食企業が多い中、ワタミの国内外食事業は同1.7%減となった。
商品の提供時間を大幅短縮
さらに、値上げに伴って商品の質を向上させたものの、「(調理人の)技術が必要なものが多くなってしまい、店舗のオペレーションが追いつかず、提供時間の遅れやサービスの乱れにつながった」(清水社長)。
悪循環を断ち切るべく、今回は値下げと同時に調理工程も簡素化する。セントラルキッチンでの仕込み工程を増やすことで、店舗での調理時間を1品平均6.5分から4.5~5分に短縮し、商品提供のスピードアップにつなげる。人気商品の「鶏の唐揚げ」の場合、店舗での調理時間は360秒(7工程)だったが、300秒(5工程)まで減らす。
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