マクドナルドの「謝罪」は、何を間違えたのか お粗末な対応で残ったのは不信感だけ
日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバ社長は2月5日、東京証券取引所で開いた決算発表会見で、次々とあらわになったマクドナルド商品への異物混入トラブルについて謝罪した。
「お客様に多大なご迷惑をかけた」
ヘアスタイルをすっきりとアップにし、深々とこうべを垂れて謝罪したカサノバ社長だが、後で触れるトラブル発覚時の初動対応のまずさは、すでに経営数字に表れている。日本マクドナルドの1月売り上げは前年同月比38.6%減、2014年通期連結決算で過去最大の218億円の大赤字という、壊滅的な状況だ。
この数字は、日本マクドナルドに対する信用失墜という単純な表現では片づけられない。トップも含めた広報対応のまずさから、商品だけでなく、日本マクドナルドそのものが「信用できない企業」として、多くの消費者から見放されつつあることが、すでに表面化してきているのだ。
残ったのは不信感だけ
カサノバ社長は当初の会見で、「トップクラスの安全性と品質管理を行っている」と胸を張ったが、会見後に残ったのは、増幅された「マクドナルド」ブランドへの不信感だけだった。ここまで傷口を大きくしたカサノバ社長と広報スタッフは、何を間違えたのか。
発端となったのは、期限切れ鶏肉問題で開いた昨年(2014年)7月の会見だ。問題発覚後、カサノバ社長が約10日間も謝罪会見を開かず、決算会見にタイミングを合わせて陳謝したことは、マクドナルドが「商品の安全性を軽んじている」との印象を世間に与えた。この対応の遅さは致命的であり、悪夢の始まりだったと言える。
当時の会見でカサノバ社長は「マックはだまされた」と訴え、被害者を装ったが、消費者からは責任転嫁と受け取られ、「申し訳ないことをした」という気持ちが全く伝わらなかった。カサノバ社長の強気の姿勢は、報道関係者や消費者に、一番嫌悪される内容で、2000年に発覚した雪印乳業の大量食中毒事件における、「私は寝ていないんだよ」という石川哲郎社長の失言を彷彿とさせるものであった。
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