ラオックス、爆買い狙った「怒濤出店」の勝算 総資産の倍以上の資金を調達、利益7倍目標

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ただ、出店計画には不安もある。訪日観光客が来る場所には全国くまなく店舗網を張り巡らせるというのがラオックスの方針だ。そのため、地方の観光地や空港など、中小型店の出店も進めている。

だが、「2014年12月期に出店した店舗の中で、岡山空港店と長崎グラバー通り店は売り上げが少ない」と羅怡文(らいぶん)社長も話すように、地方の小型店は店舗面積が限られ、事業環境が厳しいのが実情だ。

日中の政治リスクも

来店客の約7割が中国人のため、日中関係などの外部影響も受けやすい。今年は戦後70年で、「安倍談話」の発表が予定されている。内容次第では、再び日中関係が冷え込むリスクもある。

それゆえラオックスは、アジア新興国からの誘致も積極化していくとしている。ただ、14年の訪日旅行消費額では中国の5583億円に対し、アジア新興国の中で消費の多いタイは987億円、マレーシアは363億円にとどまる(観光庁調べ)。仮に中国の売り上げが減少した場合、それを他のアジア新興国でカバーできるかは不透明だ。

今のところ株式市場は、ラオックスの先行きを楽観視しているもよう。最大希薄化率は27%だが、一時下落した株価は、増資発表前の水準を奪回する場面があった。はたして調達資金を有効利用して、株主の期待に応えることができるかどうか。

「週刊東洋経済」2015年3月28日号<23日発売>「核心リポート02」を転載)

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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