大企業と起業家を結ぶモデルの可能性とは? KDDI「ムゲンラボ」の目指すものとは?

✎ 1〜 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
渋谷ヒカリエにあるKDDI ∞ Labo

KDDIにおいても、ベンチャーとの連携について最初は何をすべきか明確でなかったとのことですが、2009年からベンチャーファンドへの出資などで、ある程度時間をかけて起業家との連携ノウハウやネットワーク強化を図りつつ、トップや事業部門を巻き込んだ組織体制・仕組み作りを進めて、今日の連携スタイルを形成しているそうです。

「2階建て経営」のススメ

日本を「イノベーションネーション」にするという目的を掲げ、大企業からイノベーションは起こらないという定説を覆す活動を推進するJapan Innovation Network(JIN)の西口尚宏専務理事は、「既存事業の着実な実行と新事業創造の2階建て経営が必要」と語ります。

「大企業では日々のビジネスの焦点が、既存の事業計画の着実な実行になり、そこから非連続な新事業を生み出すことはむずかしくなっています。だからこそ、既存事業運営とは別の、探索と実験を軸とする新事業創造の社内エコシステムが必要となります。

その要素として、

①経営者のコミット

②新事業創造人材・チーム

③加速支援者(新事業を側面から応援する人)

④社内プロセス(事業化推進や意思決定の仕組み)

⑤社内インフラ(人事、法務、財務、知財などのルール)

を準備しなければなりません。

また、その際に、現状維持や前例主義を盾に会社の安定を図ろうとする人が、(自らが正しいという信念を持って)新しい取り組みを潰してしまうという企業社会の現実を前提に対策を講じなければなりません」

経済産業省では、ベンチャー創造協議会の活動の一環として、新年度から、JIN、WiL(World Innovation Lab)などと連携し、大企業のオープンイノベーション、ベンチャーとの連携促進のための検討会「イノベーション100委員会」を推進します。大企業で100社オープンイノベーションに取り組む企業が出てくるならば、パラダイムシフトが起こるとの前提で、成功事例の収集と分析、事業モデルの形成、啓発・普及・コミュニティ形成などの活動を予定しています。また、大企業において新事業推進に当たるキーパーソンや、目線の高い起業家などを育成する人材育成プログラムをWiLとともに進める準備をしています。

KDDI ∞ Laboの挑戦をはじめとして大企業のオープンイノベーションの取り組みが進む中、経済産業省では、大企業と起業家の真のコラボが進むように連携促進の環境整備を図って参ります。 

石井 芳明 経済産業省 新規事業調整官

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしい よしあき / Yoshiaki Ishii

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官。1965年生まれ。1987年、岡山大学法学部法学科卒業。1996年、カリフォルニア大学バークレー校 留学(公共政策 単位履修生)。2000年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。2012年、早稲田大学大学院商学研究科卒業(商学博士)。1987年、通商産業省(現・経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。1997年、同省工業技術院国際研究協力課、2000年、中小企業庁経営支援課、2003年、経済産業政策局産業組織課、2006年、中小企業基盤整備機構資金支援課、2007年、同ファンド企画課、2008年、大田区産業経済部産業振興課課長、2011年、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、2012年から現職。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事