KDDIはなぜ「ガラホ」を今、売り出すのか ガラケー魂は死なず!「AQUOS K」開発秘話
舞台に登場した田中孝司社長が、何とも珍しい説明を繰り出した。「このケータイはスマホとケータイ(従来型の携帯電話、いわゆるガラケー)を合わせて『ガラホ』なんて言っています」――。
1月19日に春モデルの端末ラインナップを発表したKDDI。錦鯉のようなデザインが特徴のINFOBARシリーズ最新作や独自端末「isai(イサイ)」、初のシニア向け、ジュニア向けスマホなどを披露したが、最も注目されたのは「AQUOS K」(シャープ製)だった。
冒頭のコメントのように、AQUOS Kの見た目は折りたたみ式で、テンキーがついたケータイそのもの。ワンセグや赤外線通信、防水など、おなじみの機能も備えている。その一方で、高速通信のLTEに対応し、OS(基本ソフト)はグーグルのアンドロイド、クアッドコアCPU(中央処理装置)を搭載。カメラは1310万画素。メッセージアプリ「LINE」も使える。スマホのようなスペックを持つ端末だ。LTE対応のケータイは国内では初めて。スマホの普及が進む今、なぜケータイに力を注ぐのか。
スマホへの乗り換えが鈍化
ガラホの構想は1年数カ月前にさかのぼる。スマホに乗り換える動きの鈍化が明らかになり始めた時期だ。加えて、2013年9月にはNTTドコモがアップルの「iPhone 5s」を導入。大手3社の端末ランナップが横並びとなり、差別化の難易度も格段に増した。
そこで、KDDIはスマホ開発に関して、ジュニア向けからシニア向け、コンパクトサイズなど、以前よりターゲットを絞り込んだ形で商品を提供できるよう、開発体制の見直しを進めた。ケータイについても、片手操作の使いやすさや電池のもち、料金の安さから根強いファンが多く、新しい製品が望まれていた。将来的に3G(第3世代の通信規格)回線を改廃するため、高速通信のLTEに適合した端末が必要、という事情もあった。
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