「フリーアドレス」見えてきた弱点と突破する方法 「コスト」「環境」「働きやすさ」「会社文化」の交錯

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研究所では、職種や業種によって、どういうときに領土化するのか、毎日違う席に座ることが本当に良いのかということを検証しています。

弊社のオフィスでも、以前から、完全にばらばらになるとチームの意識がなくなるのではないかと話し合ってきました。そこで、10年ほど前からフリーアドレスのなかに、「部室」と呼ばれる空間を作って運用しています。

10人程度が入れる、専用の空間を部門別に4カ所設置し、その部門の人なら、自由に目的を設定して使ってよいとしているのです。飾り付けてもよいですし、雑談しても、会議してもよい。チームの専用空間ですね。

(提供:オカムラ)

一緒に作業するときに「じゃあ部室でやろうか」と集まることができますし、チームのよりどころになっていて、気に入っている人は多いです。

弊社で運用してみた結果、部室があれば、フリーアドレスでもチームの一体感や組織の誇りを感じられるのではないかと考え、クライアントへの提案のなかに織り込むこともあります。

「個人」の働きやすさも状況次第で変わる

――完全にフリーにするよりは、人が集まる必要が見えてきたということでしょうか。

川口:そうですね。「何をしてもいい」と言われると、人はとまどいます。例えば、海外のオフィスでは、スナックを置いたカフェバーなどを作って、そこが磁石となり人を集めるというケースが以前からありました。日本でもすでに多くの企業が実践しています。

飲食ができることは人を集められる最もわかりやすい工夫例ですが、実際、いろんな空間や家具をクライアントに提案するなかで、その空間において人が集まる場所、人気のない場所というものが見えてきます。また、人それぞれの嗜好性もあります。

ただフラットにいろんな場所を用意するのではなく、疎密、フォーマルとカジュアル、色味の変化などをつけることで人が集まりやすくなりますし、それが空間デザインの力でもあります。

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