数々のヒット生んだ元セガ・名越稔洋の「自分軸」 「ゲームは売れなきゃ絶対的に意味がない」

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モバイルゲームに強いNetease Gamesの傘下に入れば、自身の持つコンシューマーゲームのノウハウで同社に貢献できるとも考えた。そこで、セガからの移籍を決断したのだという。

(写真:エンジニアtype編集部)

最高のクオリティーと収益性を両立させる難しさ

「セガでは、ゲームを取り巻く環境が目まぐるしく変化していく中で、その時代に合う作品を世に送り出そうと試行錯誤を続けてきました。

その中で学んだのは、クリエーターの思う最高のクオリティーを維持しながら、収益も同時に成立させる難しさでした」

世の中には「面白いゲームを作る」こと、それ自体に価値を見いだすクリエーターもいる。しかし、「それはクリエーターとして負けだと思う」と、名越さんは言い切る。

「面白かったけど、売れなかった伝説のゲームって山ほどあるんです。でもクリエーターは、それを美化したらダメ。

資本主義における社会貢献って、利益を出すことなんですよ。一企業が行う経済活動でありビジネスなのだから、利益が上がらなかったらそのゲームを楽しんでもらえなかったことと同義。

クリエーターは、面白いというバリューを出した対価として、ゲームを買ってくれるユーザーからお金をいただいている。

だから、『売れなかったけど面白いものを作れたからいいよね』って開き直っちゃいけないと思うんですよ」

高いクオリティーと収益性の両立という難題に30年向き合い続けてきた名越さん。「セガでは本当にいい勉強をさせてもらってきた」と自身の過去を振り返った。

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