数々のヒット生んだ元セガ・名越稔洋の「自分軸」 「ゲームは売れなきゃ絶対的に意味がない」
中でも、エンジニアの意見を尊重するのが、名越スタジオの特徴だ。
「ワールドワイドで評価されるタイトルをつくろうと思ったら、エンジニアリングに強いプログラマーやテクニカルアーティストの存在が重要になってきます。もはや彼らが、ゲームのアイデアや作り方まで操る時代に突入している。
真にクリエーティブな時間を生み出すために、『少しでも無駄を省いてラクしたい』と考えるのがエンジニアリングの原点だし、やっていかなきゃいけないこと。そうしなければ、時間とコストがどんどん膨らんでしまいますから」
名越さんがエンジニアに求める「センス」
名越さんがエンジニアに求めるのは、高いプログラミングスキルに加えて、ゲームづくりの「センス」なのだそう。
「センスとはわかりやすくいうと、言語化力と地頭のよさです。あるゲームを面白いと感じたときに、その面白さや理由を言葉にして説明できること。
市場に商品として出回るということは、面白さを何らかのかたちで言語化して、ステークホルダーに伝えてディスカッションした結果だから。
それから地頭とは、そのゲームの面白さを実現するために、何を・どういう順番でやっていけばかたちになるのか考える力のことですね。
ものすごいアイデアを持っているクリエーターと、すさまじいセンスを持って『面白さ』を言語化してゲームに組み込めるエンジニアが組めば、“面白くて売れる”最高の作品ができあがります」
出し惜しみせず、1つの作品でできることはすべてやりきる。いかなる制約があろうとも、その中で「面白いだけじゃなく、ちゃんと売れるゲーム」を作る。その信念の背景には、30年以上ゲームとユーザーにとことん対峙してきたトップクリエーターだけがたどりつける“1つ上の地平”が見えた。
名越稔洋(なごし・としひろ)さん
1989年、セガ・エンタープライゼスに入社し、1994年に初プロデュース作品『デイトナUSA』をリリース。2000年、開発スタジオの分社化に伴い、アミューズメントヴィジョン代表取締役に就任。『モンキーボール』シリーズや、任天堂との業務提携タイトル『F-ZERO GX』『F-ZERO AX』等を手掛ける。組織再編等に伴い、2005年に総合監督作品『龍が如く』シリーズを発売し、2011年セガ 取締役CCOに就任。2021年発売の『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』まで「龍が如くスタジオ」ブランドの作品全てに総合監督として携わる。2021年にセガ 取締役を退任し、同年11月に株式会社名越スタジオを設立
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