「自分の経験談」が有効になる"たった一つの状況" 悲しんでいる人や怒っている人には逆効果

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では、相手が自分に対して怒っている場合はどうでしょう。そのようなときも、まずは相手に言いたいことを全部話してもらいましょう。

あなたのほうにも言い分はあると思いますが、途中で「いや、それは……」などと腰を折ると、ますます話がややこしくなります。

一度全部吐き出すと、ある程度気持ちが落ち着くことが多いので、訂正や反論をするなら、相手の話がひと通り終わってから、冷静に伝えるといいでしょう。

悲しんでいる最中の人に、励ましの言葉は届かない

では、失恋や身近な人(もしくはペット)との別れ、自身や身近な人の病気などによって、相手が悲しんでいるときはどうでしょう。

その場合も、やはり共感を示しながら話を聞くことが大事です。相手が何も言わないうちは静かに見守り、口を開いたら黙って聞く。それだけで、悲しんでいる人の気持ちはかなり救われるはずです。

そのうえで励ますかどうか、励ますとしたらどのような言葉を使うかは、なかなか難しいものがあります。悲しんでいる人に、下手な慰めの言葉をかけても、まったく響かないどころか、「いいから黙って」と思われてしまうことは少なくありません。

特に難しいのが、自分の話をすること。

人が悲しんでいるとき、共感の気持ちを示すため、あるいは相手の気持ちを軽くするため、「わかる。自分にも昔、同じようなことがあって……」と言いたくなるのはわかります。

実際、悲しい経験をした人が、同じような経験をした仲間の存在や言葉に救われることは少なくありません。

ただ、相手が悲しい経験をしたばかりのとき、悲しみでいっぱいのときに、あなたの経験談を話しても、なかなか相手の心に届きません。それよりも「自分の話を聞いてほしい」という気持ちのほうが強いからです。

あなたの話をするのは、あくまでも、相手の悲しみがひと段落した後、相手が「同じような経験をした人の話を聞きたい」という意思表示をしてから、が良いでしょう。

悲しい経験をしたばかりの人に「頑張って」「悲しんでばかりいても仕方ない」など、前向きな励ましの言葉をかけるのも微妙です。

すぐに悲しみから立ち直らせようとするのではなく、話を聞き、「辛かったね」「大変だったね」「何かできることがあれば言ってね」などの共感を示す言葉、「自分は一人じゃない」「自分には見守ってくれている人がいる」と相手が感じることができる言葉をかけ、相手がしばらく、安心して悲しみに浸ることができる状態を作るのが良いのではないかと私は思います。

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