「自分の経験談」が有効になる"たった一つの状況" 悲しんでいる人や怒っている人には逆効果

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なお、私も過去にそうしたケースをたくさん見てきたのですが、「気の利いた冗談」を言っているつもりで、あるいは「クールで理性的な自分」「なんでも思ったことを言ってしまう正直な自分」を表現したくて、楽しい気持ちでいる人にシニカルな言葉を投げかける人は少なくありません。

でも残念ながら、そうした冗談はまったく笑えず空回りするだけであり、クールではなく空気が読めない人、正直ではなく無神経な人、と周りから思われてしまうだけです。

話しやすい人になるためには、まず、相手の感情に寄り添うこと。これが何よりも大事な基本だといえるかもしれません。

相手が怒っているときは、とにかく話を聞く

次に、相手が怒っているとき。これは少し難問です。

その場の状況や相手のキャラクターにより、取るべき対応が変わって来るからです。

しかし、基本的にはやはり、怒りの感情に寄り添うのがもっとも無難です。

深呼吸をさせるなど、気持ちを落ち着かせるための具体的な行動を促すのはいいのですが、誰かが怒っている最中に、「まあ、落ち着いて」「そんなに怒ると体に良くないよ」と抽象的なことを言ったり、「私は、あなたにも問題があると思う」などと、相手の言い分を否定するようなことを言ったりしても、そう簡単に落ち着くはずもなく、相手はますます怒りをエスカレートさせ、あなたの言うことを聞かなくなることもあるでしょう。

どうしても間違いを正したりアドバイスをしたりしたいなら、(相手との関係性や相手の性格にもよりますが)相手が少し落ち着いてからにしましょう。かくいう私も実は、過去に、仲のいい友人が腹を立てているとき、「でもまあ、相手にも事情があるだろうし……」などと言ってしまったことがあります。

私としては、そういう「他者目線」が入ることで、友人が少し冷静さを取り戻せるのではないかと考えた結果であり、友人も「それはわかっているけど……」と一応聞いてはくれたのですが、その場にいた別の友人から、後で「いや、あそこは黙って聞いてあげるべきだったと思うよ」と言われ、反省しました。

とにかく、まずは怒っている人の話を聞くこと。その際、一緒になって怒ってみせるのもいいかもしれません。

一緒になって怒ることで、相手は「この人は自分の気持ちをわかってくれている」と感じるかもしれませんし、冷静さを取り戻す可能性もあります。

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