「数学って役立ちます?」東大生がMBA教授に質問 「仕事ですごく使います、安心してください」
嶋田:ビジネスの世界では、特別難解な数学が絶対に必要、というわけではありません。中学校や高校で学ぶレベルでも十分に通用します。
例えば、ファイナンスの分野では、高校数学の等比数列を知っているのと知らないのとで理解度が変わります。
苦手な人は多いと思うのですが、やはり、数学を知らないと、ビジネスパーソンとしてバリューを出せない時代になっていると感じます。
西岡:本書では「集合」というテーマも解説されていますが、どういう意図がありますか?
嶋田:ロジカルシンキングの基本だからです。「ソクラテスは人間である。人間はいつか死ぬ。つまり、ソクラテスは死ぬ」という典型的な三段論法は、集合で考えるとわかりやすいのです。
andやorの世界がわかっていると、物事を整理しやすくなります。法律を勉強すると「〇〇もしくは、〇〇の場合」「〇〇かつ〇〇」というベン図の考え方が出てきますよね。
こういったことは、「感覚でわかる」という人もいると思いますが、数学という基礎が身についていると、その構造がどれだけ複雑になっても対応できます。感覚だけでは、それは難しいのです。
西岡:なるほど。僕は中学生や高校生の学習指導をやっていますが、たとえば英語でも、「集合」がわかっていないと解けない問題があります。ものすごく簡単に言うとandとorの違いなどですが、数学を理解できていない子にそこを教えるのは、本当に大変です。
嶋田:日常生活にも使う考え方ですから、大事ですね。
騙されないためにも、数学は必須知識
西岡:漫画『ドラゴン桜』のキャラクター桜木建二は、「騙されないようになるために勉強しよう」と言います。
数字って、知らない人を騙すものとして使われるところがあります。数字のトリックはよくありますし、間違った確率予想で相手を騙すなんてこともあります。
嶋田:「嘘には3種類ある。嘘、大嘘、そして統計だ」という有名な言葉がありますね。私も平均値の罠について書いていますが、騙されないという点も数学の大きなメリットですね。