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キャリア・教育 #もしも彼女が関ヶ原を戦ったら

27歳企画職の彼女が関ヶ原の戦いに挑む前夜の事 ビジネス小説「もしも彼女が関ヶ原を戦ったら」序章

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みやびは水の入ったグラスを星に差し出した。星はその水をぐっと飲み込むと、みやびのほうに突っ伏すように身体を倒した。

「ちょっと!」

慌てて星の身体を支え、ソファ側にもたれかからせる。手間がかかることだ。月曜日だというのに……みやびは自分の運のなさに、ほとほと嫌気が差した。「多々良の狙いはな……うちの会社を乗っ取ることだ」

身体を離そうとするみやびの右腕を星は掴んで言った。

「そんなことはないと思いますよ」

「そのために……グローリープロジェクトを潰す気だ……」

「グローリープロジェクト?」

星の口から聞き慣れない言葉が出たので、適当にあしらおうとしたみやびの動きが止まった。みやびが自分の言葉に関心を示したことがわかったのか、星は大きくうなずいた。

「グローリープロジェクトだ! おまえグローリープロジェクトを知らんのか!」

「知りません……なんですか、それ?」

「俺はあの狸を必ず会社から叩き出してやる!」

質問すると星との面倒な会話が続くことはわかっていたが、聞かずにはいられなかった。好奇心旺盛なみやびの悪いクセだ。

「社長室はなんにも知らんのだなぁ! まぁ三島なんざ先代は相手にしてなかったからな!」

星は、愉快そうに笑った。

「先代は、ご自身の病状が重いことを悟ってから、未来のグローリーゲームスの柱となる極秘プロジェクトを開始されていた。それがグローリープロジェクトだ。ゲームが単なる娯楽ではなく、社会に欠かせないものになるための壮大な計画だ」

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星は、まるで近くに司馬山がいるかのように天を見上げて話した。その切れ長の目からみるみる涙があふれる。「俺たちはなんとしてでも先代の遺志を継ぎ、グローリープロジェクトを成就させなければならんのだ………それをだ……」

星はギロリとみやびに視線を移した。その瞳には憎しみが籠もっている。

「あの多々良の狸親父は潰そうとしている! そしておまえはその片棒を担いでいる!!」

とんだトバッチリだ。

「先代の最大の間違いは、あの狸親父を副社長に据えたことだ! 俺はあの狸を必ず会社から叩き出してやる!!」

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