「6代目セレナ」工夫を尽くした内装にも映る進化 シンプルな造型、3列シートは圧倒的に使いやすく

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「実は、これまで乗りもの酔いのメカニズムはよくわかっていませんでした。研究した結果、頭部の急な動きが平衡感覚を失わせ、それがクルマ酔いにつながるとわかったため、モーターの出力の適切な制御、減速のしかた、クルマの揺れなどを最適化しました」

6代目セレナ開発担当の技術者は上記のように語ってくれた。加減速をスムーズに行えるように調整するとともに、ヨー、ピッチ、ロールといった車体の動きもなめらかになるよう、セッティングに心を砕いたそうだ。

さらに、クルマ酔いを防止するために、車体の揺れの伝達を抑えるという新設計のシートを採用。視界の確保も重要と、2列目に座った子どものために、前のヘッドレストレイント(ヘッドレスト)を脚つきのタイプにして、間から前方の景色がのぞけるようにしている。小さいかもしれないけれど、意外に重要なデザインかもしれない。

日産自動車 6代目セレナ 内装
フロントシートのヘッドレストレイントは形状を工夫して前の景色が見えるようになっている(筆者撮影)

シート地は「価格帯からしても」(日産の開発者)レザーは使用していない。これは昨今のクルマに多くなってきたアニマルフリー(動物由来の素材を使わない)の観点からしても評価したい。

滑りにくい、汚れにくいシート表皮

日産のインテリア担当者がシート表皮として選んだのは、滑りにくい、汚れにくいといった機能的な素材。かといって、手触りはしっとりしていて、安っぽさは感じられない。

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バッテリー充電用の3気筒エンジンは、時速100キロを超えたときも、比較的音が高まらない。エクストレイルなどに搭載されている「VCターボ」ほどの“快音”ではないにせよ、静粛性のために「作動音を抑制」したと説明されたのにも、納得できた。

速度が上がっても、ウインドウまわりやルーフを風がたたく音は期待以上に低く抑えられていると、試乗のときは感じられた。ただし床下から小石がはねる音は(ほかが静かになったぶん?)意外に大きく響くのだった。発売前に改善されるかもしれない。

小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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