「新自由主義大政翼賛」から転換する方法はあるか 「民主的多元主義」による経世済民の復活可能性
グローバル化の問題点は「新しい階級闘争」を生み出した。新自由主義改革のもたらした経済格差の拡大、政治的な国民の分断、ポリティカル・コレクトネスやキャンセルカルチャーの暴走である。
アメリカの政治学者マイケル・リンド氏は、このたび邦訳された『新しい階級闘争:大都市エリートから民主主義を守る』で、各国でグローバル企業や投資家(オーバークラス)と庶民層の間で政治的影響力の差が生じてしまったことがその要因だと指摘している。
私たちはこの状況をいかに読み解くべきか。評論家・作家の佐藤健志氏が解説する。
消え失せたアメリカン・ドリーム
自由な社会では、誰にでも平等なチャンスが与えられており、努力次第でいくらでも社会的階級を昇ってゆくことができる。才能や運などによる制約はあるとしても、かつての身分制度のように、階級が固定化することはない。
私たちにとって、この発想はなじみ深いものです。いわゆるアメリカン・ドリームは、その最も有名な例でしょう。アメリカは自由の総本山なのだから、生まれた階級による束縛などありえないという次第。
1920年代の有名なギャング、アル・カポネまで、こう語ったと伝えられます。
「わがアメリカの制度は、みなに平等なチャンスを与える。それをつかみとろう」
「のんびりやろう。干渉や束縛なしに、好きに生きようじゃないか」
しかし現在、アメリカン・ドリームは根底から崩れています。貧しい階級に生まれたら最後、のんびりどころか、一生あくせく働いても浮かばれないくらいに、階級の固定化が進んでいるのです。
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