若者が熱狂する「ブレイキングダウン」光と影 「オーディション暴行事件」で露呈した未成熟さ

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BreakingDownは特殊なコンテンツだ。

主催者側のいう“人間讃歌”のストーリー、十人十色の様々な背景から、多様なオーディエンスに共感をもたらしていることに異論はない。しかし、目立ちたい喧嘩自慢たちが繰り広げる、地上波では決して見ることができない“ギリギリ”の際どいところまでを編集して見せる部分が、その人気を支えていることも確かだ。

公開オーディションでのトラブルも含めて総合的なエンターテインメントとしていく意図は理解できないわけではない。

主催者側は広報を通じて「今回の出来事は我々としても予期せぬことであり、当日は関係者が制止したにもかかわらずこのような事態になったことを重く受け止めております。二度とこのようなことが起きないよう、再発防止策の制定やルールの徹底などを進めてまいります」と応じた。

「人生を変えたい、人生を懸けて出場したいという多くの人たちの声が毎日のように届いています。だからこそ、挑戦の場としてのBreakingDownの意義を明確にしたい」としたうえで「代理人を通じて厳重注意」したという。

その一方で「戦いを通じて反省を促し、新たな道を開いていただきたいと思い、そういった観点で今回マッチメイクさせていただきました」と暴行を働いた彼女たちの出場を決めた。

主催者側の「ダブルスタンダード」が露呈

しかし、すでに伝わっているように、BreakingDown 6の前日記者会見ではABEMAでの生配信中に別の暴行事件が発生した。その際にも相手が流血する傷害騒ぎになったが、主催者はすぐに対応して対外的なメッセージを発信。暴行した久保田覚さんは無期限出場停止の処分を即座に下された。

11月2日、「女子オーディションはひどかった」と語ったYUGO氏(写真左)と朝倉未来氏(右)。朝倉氏は「SNSで叩かれればいいのでは」と語っていたが、それ以前に問題を起こしにくい運営が求められる(筆者撮影)

一方で生配信されておらず、暴行シーンも詳細には伝わっていない女子オーディションでの問題では、暴行を加えた2人への措置は取られていない。はからずも“ダブルスタンダード”が露呈した形である。

YUGO氏と朝倉未来氏は、今後、大会をどのようにしていきたいのだろうか。

率直な疑問を伝えたうえで取材を申し込んだが、YUGO氏は12月4日開催予定のBreakingDown 6.5(本大会とは別に設定されるミニ大会)、中旬に予定のBreakingDown 7での公開オーディションにて、ルールや大会運営について見直しをかけたうえで取材に応じたいとしている。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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