若者が熱狂する「ブレイキングダウン」光と影 「オーディション暴行事件」で露呈した未成熟さ

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2021年2月の初開催から2022年11月には6回目を数えた。BreakingDown 6では2000人もの応募者を集めた。2月開催の第7弾はさらに話題が膨張しており、より大きな規模になることは間違いないだろう。

現代の格闘技イベントは有料入場、視聴の興行イベントとして成立させるための演出も巧みになっているが、一方で競技としての洗練度も上がりスポーツとして確立さる方向で進化している。

ルール設定や審判の質、イベント運営全体に至るまで進化が進み、運営組織のガバナンスを引き締めることでプロ興行としての娯楽性と、スポーツとしての競技性のバランスが最適化されてきた。

もっとも大きな成功例は総合格闘技のUFCであり、Bellator MMA、ONE、日本ではRIZIN、PANCRASE、修斗などのブランドがある。決まった条件のもとに競える競技性を整えつつ、そこにプロ興行としての付加価値を加えて事業を成立させている点はどのブランドにも共通している。

格闘イベントになかった「エンタメ性」

ところがBreakingDownは、基本ルールこそキックボクシングや総合格闘技に準じているが、イベントを視聴する側の視点でみるとこれまでの格闘イベントにはなかった娯楽性がある。

現役格闘家からは否定的な声もあるが、コンテンツとして捉えた場合に、視聴者からどう見えるかは重要な部分だろう。

1分という制約により、勝負の決着が早いことはもちろん、試合での駆け引きの少なさ、参加ハードルの低さ、強さや勝敗結果だけではなくヒューマンストーリーに重きを置いたストーリーテリングなど、誰でも一望できるコンパクトさがある。

一方で数多くの試合が組まれ、テンポよくイベントが進行するため、参加者や背景ストーリーは多様化しやすく、共感できる出場者から共感しにくい出場者まで多くのファンと参加者が意見を戦わせ、SNSを通じて交流する。

YouTubeを中心にTwitter、Instagramなどで自然に広がる現代的な口コミスタイルは、これまでの格闘イベントにはなかったものだ。

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