若者が熱狂する「ブレイキングダウン」光と影 「オーディション暴行事件」で露呈した未成熟さ

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半月板損傷の大怪我を負ったのはグラビアモデル、筋トレ系YouTuberの緒方友莉奈さん。幼少期に家庭内での虐待から拒食症を発症。学校での猛烈なイジメを経て不良グループに加わるも抜け出し、卒業後はモデルとして活動していた。しかしここ数年で数度の挫折を味わい、新しい自分へと生まれ変わるためにBreakingDownへ応募したという。

怪我の治療費や検査費用などは、すべて自腹。仕事への影響もあって訴えることも考えたが、本戦が差し迫る時期まで対戦相手や出場確定の返答をもらえず、出場できなくなることを恐れて訴えることができずにいたという。

求められるコンプライアンスへの意識

目立った怪我こそしなかったものの、タレントの坂口杏里さん、YouTuberへずまりゅうさんの妻などが自己アピールを始めると前述の2人は執拗に絡み、前述したように繰り返し暴行を加えた。

この2人はTikToker仲間のみらたむさんといーたろさん。2人とも格闘技に興味があるわけではなく、BreakingDownを通じて目立つことでフォロワーを増やす目的だったようだ。しかし、オーディション後、本戦後に取材を申し込んでみたものの応答はなかった。

幅広くアマチュアの参加者を求めているため、こうした人物の参加を100%食い止めることはできない。

しかし暴行傷害は非親告罪である。怪我を負った当事者が訴えるか否かにかかわらず、イベント主催者は当局に状況、証拠となる映像を報告したうえで、起訴相当となるか否か判断を委ねるべきだろう。そればかりか、オーディションの様子をレポートした公式動画では、決定的な暴力シーンはカットされていた。

笑顔を浮かべながら緒方さんに蹴りかかるいーたろさん。朝倉未来氏のYouTube動画では決定的な暴行シーンはカットされていた(写真:朝倉未来氏のYouTubeより)

イベント主催者はYouTubeのレギュレーションから暴力行為そのものが撮影されたシーンはアップロードできないため、公式動画の中では使われなかったと説明する。しかし暴行障害に関する現場対応についての言及はなかった。

なお、暴行を働いた2人はその後、いずれもオーディションでの結果を受けて本戦への出場権を得て試合も実施。みらたむさんは、膝の半月板を損傷した緒方さんとの試合が組まれた(緒方さんがみらたむさんに判定勝ち)。

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