鶏むね肉 300g
塩 小さじ1/3(2g)
酒 大さじ1
小麦粉 80g
片栗粉 20g
卵 1個
水 75ml
インターネットでレシピを検索すると、鶏むね肉レシピの多くは叩いたり、砂糖水に漬け込んだりなど、パサつきやすさを解消するための工夫が施されているものが目に付きます。ただ、どの工夫も一長一短があるので、求める仕上がりや調理法に応じて、適切に選ぶことが重要です。
例えばとり天では鶏をそぎ切りにします。鶏むね肉を観察すると中心から放射状に繊維が走っているのがわかるでしょう。そこでまず横半分に切ってから、繊維を断ち切るように1cm厚に切ります。繊維が短くなるので、食感がやわらかくなるからです。
一方、繊維が短くなる、ということは水分が逃げやすくなる、という弱点もあります。とり天の場合はそこを下味と衣で補いましょう。分量の塩小さじ1/3と酒大さじ1を振り、15分以上置きます。この工程は事前に準備することもできるので、下味をつけた鶏むね肉はラップなどをかけて、冷蔵庫で一晩置いてもかまいません。
この工程には味付け以上の意味があります。まず、塩を加えることでタンパク質の一部が溶け、水分を抱え込むので、結果として食感がやわらかくなります。酒は臭みを抑えるほか、肉の保水力を高める力もあります。加熱によって失われる水分も補われるので、仕上がりがしっとりします。
衣の材料です。江戸前の天ぷらは素材の味を生かすためのクリスピーな薄衣が主流で、例えば水500mlに卵1個(または卵黄1個)を溶き、そこに同体積の小麦粉を混ぜたりします。
一方、とり天は中国料理の揚げ物に近く、存在感のあるふっくらとした衣にするため、卵と小麦粉の量が多い配合です。
ここでは小麦粉に片栗粉を混ぜています。片栗粉は小麦粉と違い、タンパク質が含まれていない純粋なデンプンです。デンプンはタンパク質のような網目構造をつくらないので、揚げたときに水分が抜けやすく、フワッとした食感が出ます。
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