自動運転レベル4解禁、巡回バス実証実験の現状 道交法改正で公道でも自動運転が可能になった

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走行シーン
レベル4に対応した自動運転バス「エヴォ」の走行シーン(筆者撮影)

2022年11月4日に当取り組みに関するメディア説明会が実施され、新しい自動運転バスの体験試乗会にも参加してきたので、その乗り味などをレポートするとともに、レベル4自動運転バスの可能性などについて検証してみたい。

実証実験の概要とヘルスケアMaaSとは

今回の実証実験は、前述のとおり、「ヘルスケアMaaSが拓く地域コミュニティの未来2022」という取り組みの一環で行われた。湘南アイパーク、横浜国立大学、湘南鎌倉総合病院、三菱商事が共同で、2022年11月4~20日に開催。実施の背景には、神奈川県や藤沢市、鎌倉市といった行政と、湘南アイパーク、湘南鎌倉総合病院の5者が連携して取り組んでいる、「村岡・深沢地区をヘルスイノベーション最先端拠点に形成する」という目標がある。現在、実現に向けた数々の施策を行っているが、なかでも今回は、とくに「ヘルスケアMaaS」に焦点を絞り、将来的な実用化に向けた研究などに役立てることを目的とする。

なお、ヘルスケアMaaSとは、モビリティとICTをシームレスにつなげる「MaaS(マース:Mobility as a Service)」を、医療分野にも取り入れようというもの。今回の実証実験のように自動運転車をはじめ、さまざまなICT機器を活用することで、シームレスな移動や、病院における効果的で迅速な診察などに役立てようというものだ。

近年、少子高齢化が進む日本では、病院へ通院する高齢の患者などの増加も懸念されている。とくに自ら自家用車などを運転できない、身体が不自由な高齢者や障がい者の場合は、移動手段の確保は非常に重要だ。また、路線バスなどの運行路線がないとか、運行本数が少ないエリアもあることから、自宅と病院の間を往復できるコミュニティーバスなどの需要も高まっている。

一方で、路線バスなどの公共交通機関について、やはり高齢化により運転手不足が問題となっており、採算がとれない路線の廃止、または維持が難しくなっているなどの課題もある。自動運転バスなどの活用は、そうした社会的課題を解決する手段として実用化が期待されているが、今回の取り組みは、それをさらに進め、バスで移動中に患者のバイタルデータなどを計測し、病院内での診療に役立てることも検討されている。

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