トヨタ「スマホ連携ナビ」拡大展開が招いた不評 昨秋に導入するも、わずか半年で軌道修正へ
トヨタ自動車の新たなカーナビゲーション戦略が揺れている。
昨秋からスマートフォンとの連携を前提とした「ディスプレイオーディオ(DA)」の標準搭載に舵を切ったが、消費者や販売店から戸惑いの声が続出。自動車そのものの販売にも悪影響を及ぼしかねないため、DAの標準搭載を取りやめ、車両購入者が搭載・非搭載を選べる選択制に移行することになった。
昨秋発売の新型カローラにDAを標準搭載
トヨタは2019年9月発売の新型「カローラ」から、新たなカーナビ戦略を打ち出した。その核となるのが、液晶ディスプレーのDAだ。普通のオーディオ一体型ナビのように見えるが、DA自体はタッチパネル式のディスプレーでしかなく、CDやDVDの挿入口もない。あくまでスマホと接続しての使用が前提となる。
具体的にはUSBケーブルなどでスマホをつなぎ、スマホのアプリをDA画面上に表示して操作する。トヨタのDAはスマート・デバイス・リンク(SDL)規格に対応しており、LINEカーナビやLINE MUSICなどのアプリの使用が可能。さらに追加料金(3.3万円)を支払えば対応規格が拡充され、iPhoneやAndroidスマホのマップ(ナビ)や音楽再生、電話、メッセージどのアプリもDA画面上で表示・操作できる
DA自体は今の時代、必ずしも珍しくない。実際、ホンダや日産自動車、マツダなど他の国内自動車メーカーを見ると、従来型のカーナビに加え、オプションの1つとしてDAをすでに商品化済みだ。一方、トヨタはこれまでDAの用意自体がなかった。
そのトヨタが一気にDAをナビ戦略の柱に据え、その第1弾として昨年秋発売の新型カローラで標準搭載した。他社のようなオプションのナビとしてではなく、最初からDAを車体に組み込んだのである。その後もマイナーチェンジした「アルファード・ヴェルファイア」や「C-HR」「カムリ」、さらには2020年2月10日発売の新型「ヤリス」とDA標準搭載の車種を広げた。
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