次世代アイサイトを「自動運転」と呼ばないワケ

理論上は可能でもスバルの目標はそこにない

ハンズオフ(手放し運転)が可能となった「アイサイトX」を体験した(筆者撮影)

「やはりスバル、モノとしてものすごくよくできている一方で、どこか人間味がある」

新型「レヴォーグ」の2020年10月15日発売を前に、同車のプロトタイプで次世代アイサイトの各種機能を実体験して、そう思った。

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最初に乗ったのは2020年8月上旬、茨城県内にある日本自動車研究所テストコースだった。ここでは、自動車専用道(高速道路とほぼ同義)を想定して「アイサイトX」を体験した。アイサイトXは、衛星測位を使った新技術。次世代アイサイトは新型「レヴォーグ」に標準装備で、アイサイトXはプラス35万円で全グレードに搭載車を設定している。

アイサイトXの特長は、大きく6つある。

(1)高速道路でのカーブ前に自動減速
(2)料金所の前で自動減速
(3)いわゆる自動車線変更
(4)渋滞時で時速約55㎞以下でのハンズオフ
(5)渋滞時の前車の動きに合わせた自動発進
(6)車内モニタリングカメラでドライバーの異常を検知すると、ホーンで周囲に警告しながら安全な直線路まで走行して停止する、いわゆるデッドマン装置としての対応

これらを実体験した直後の感想は、「まるでレベル3自動運転のよう」だった。こうした技術は、次世代アイサイトの基本技術に加えて、GPSなど衛星測位の情報と、パイオニアの子会社インクリメントPなどが作る、高精度三次元地図の活用で実現している。

リアルワールドありきの開発

9月上旬、今度は千葉県内の袖ケ浦フォレストレースウェイでアイサイトXを試した。全長2.4kmの本コースで新型レヴォーグの動的性能を確認したあと、仮設の“見通しの悪い交差点”での左から接近するクルマに対する車内警告と自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)。続けて、右折時に横断歩道を渡る歩行者に対する自動ブレーキを体験した。

右折時の歩行者を検知する機能のデモンストレーション(筆者撮影)

実体験の直後の感想は「これがあると、(気持ちのうえで)助かる」だった。旧型比で約2倍に広角化したステレオカメラと、フロントバンパー両端に埋め込んだ周波数帯域77GHzのミリ波レーダーの効果だ。

筆者はこれまで、さまざまな機会にアイサイトと接してきた。そのうえで、次世代アイサイトとアイサイトXについても、スバルのこだわりを改めて強く感じた。それは「リアルワールド第一主義」だ。

アイサイト開発を統括する柴田英司氏は「リアルワールドで実験部署と開発部署が絶えず緊密に情報交換していることが、アイサイトの強み」だと主張する。

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