「EV」注力の裏に見える自動車メーカーの本音

読み解くカギは2つ!「法規制」と「ESG投資」

「ニッサンパビリオン」内部に展示されている日産「アリア」(筆者撮影)

日産はV字回復の旗手として、1年以上先の発売を予定している「アリア」を2020年7月に公開した。

それに合わせて、日産グローバル本社からほど近い場所で、期間限定(2020年8月1日~10月23日)の体験型エンタメ施設「ニッサンパビリオン」を開設。EV(電気自動車)で来場した人向けに充電器を完備した駐車スペースが用意された。

都内では、豊洲市場に近い江東区有明に「ポルシェNOW東京」(2020年7月12日~2021年8月31日)が期間限定オープン。ポルシェ初のEV「タイカン」誕生をきっかけに、ドイツ、ドバイ、台湾などで展開するホップアップストアという形式の期間限定ショールームである。駐車スペースには、日本ではまだめずらしい、出力150kWの急速充電器が2基配備される。

「ポルシェNOW東京」に設置された、出力150kWの急速充電器(筆者撮影)

プジョーは、7月上旬に「e-208」の日本発売をオンラインで発表。8月にはホンダが小型EV「ホンダe」発売に備えた専用ウェブサイトを開設した。 

海外からの情報では、ゼネラルモーターズ(GM)がキャデラック初のEV「リリック」の技術詳細を公開し、またEV化してGMCブランドに鞍替えした「ハマー」を今秋に発表すると表明。また、フォードはマスタング「マッハE」の詳細発表や、プロモーション用に制作した最大出力1400馬力レース仕様マッハEの派手な走行動画を公開した。

こうした状況にあるにもかかわらず、自動車メーカーや自動車部品メーカー、また行政機関や教育機関の関係者らと「EVのこれから」について議論すると、「EVが一気に普及するイメージが持てない」という考えを持っている人が多い。それは、なぜなのか。

根底は「環境規制」への対応

「EVは規制ありき」。これは自動車メーカーが長年に使っている、決まり文句だ。たしかに、1990年にアメリカ・カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制が施行されて以来、世界の自動車メーカーはZEV規制に振り回されてきた。

最近では、ZEV法を参考にカリフォルニア州政府と中国政府が共同で考案した中国NEV(New Energy Vehicle=新エネルギー車)政策の影響が高まった。

なぜならば、中国は当面のあいだ、世界最大の自動車製造・販売国であり続ける可能性が高く、NEV政策は事実上、世界唯一の国全体としての電動車に対する量的規制であるからだ。さらに、中国では企業別平均燃費(CAFE)も絡んでいる。

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