「電動車いす」のニーズが障害者に限らない真因 車いすを自動運転化したベンチャーの挑戦
「WHILL(ウィル)」という会社をご存じだろうか。スタイリッシュな電動車いすを販売するベンチャー企業だ。しかも、このベンチャー企業は、熱心に自動運転の実証実験を行っているという。
車いすが次世代モビリティになるだろうか。なぜ、車いすのメーカーが自動運転なのか。WHILLを取材した。
訪れたのは、WHILLの最新モデルが用意されているという大手町のサテライト・オフィス。1フロアにベンチャー企業などのオフィスがぎっしりと並んでおり、それらオフィスのミーティングスペースで、実機に触れることができた。
試乗できたのは最新モデルの「WHILL Model C」であった。デザインは、従来のパイプいすに自転車の車輪をつけたようなものとは異なり、大きく雰囲気が違う。4輪の台車の上にいすが乗っているような構造だ。この製品は、車載しやすいように分解できるという。
バラしてもらうと、その構造がよくわかる。いすは座面の下に軸があり、まるでオフィスチェアのよう。車輪を備える部分は金属のパイプでフレームができており、それを樹脂がカバーしている。
前後左右に自由に動くオムニホイール
駆動は、後輪の内部にあるインホイールモーターが担う。左右の車輪に内蔵されたインホイールモーターを個別に作動させることで、前後だけでなく左右にも動く。前輪は駆動とは関係なく、しかも転舵もしない。それなのに抵抗にならないのは、オムニホイールという特殊な車輪を採用しているからだ。
オムニホイールは、転舵しなくても前後左右に抵抗なく進むことができるもの。この構造が、WHILLの製品の最大の特徴だろう。
この電動車いすは、前輪が大きいため段差を超える能力が高い。一般的な車いすがクリアできる段差は2~3cmと言われるが、オムニホイールであれば、最大5cmの段差を乗り越えられるという。さらに重量バランスがいいので、上り坂での安定度も高い。
試乗してみると、操作は非常に簡単だった。
左側のひじ掛けの先の、ちょうど手のひらが当たる部分に、主電源と速度域を変えるスイッチがある。速度は4段階から選べ、最高速度は時速6㎞。じわじわとゆっくりした動く速度から、速足くらいまでをカバーする。
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