「電動車いす」のニーズが障害者に限らない真因 車いすを自動運転化したベンチャーの挑戦

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「初期のうちから『電動車いすで送迎ができるといいよね』と話し合っていました。MaaSという言葉が後から来た感じですね」と辻阪さん。つまり、最初から目指すところは変わっていないのだ。

創業前の2011年の東京モーターショーに出品された最初のコンセプトモデル「WHILL Prototype」。ソニーやオリンパス、日産自動車などの若きエンジニアやデザイナーが集まって作り上げたパーソナル・モビリティだ(筆者撮影)

「今までModel AやCを開発していたときは、『個人の移動を楽しくスマートに』というものでした。これからの5年は、楽しくスマートに行ける場所を増やすことが目標です。たとえば、空港はスマートに動けるとか。今は、そういう場所を点で増やしていく段階。すべての場所で、すべての人が楽しく、スマートな移動ができる。それが30年後、最終的な目標です」(辻阪さん)

空港だけでなく、公園や美術館、観光地などにWHILL自動運転システムを配置することで、障害者に限らず、誰もが簡単に利用できるようになる。WHILL自動運転システムがパーソナル・モビリティとしてインフラになる未来を目指すというのだ。

社会問題を解決するビジネスに

車いす、しかも電動となれば、重い障害のある人のためのもの。そんな思い込みが、間違いであることを思い知らされた取材となった。なるほど、障害者ではなくても、長距離を歩くのが辛いという人は、確かに多い。そんな人が、シェアリングで気軽に利用できるのであれば、電動車いすを試そうと考える人は多いはずだ。

しかも、自動で貸し出した場所に戻ってくるのであれば、提供する側も人的リソースの負担が小さい。障害者だけでなく健常者の利用を前提にすることで、利用シーンが広がり、それに伴って電動車いすの販売も伸びることだろう。社会の問題解決が、そのままビジネスに結びついていたのだ。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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