「電動車いす」のニーズが障害者に限らない真因 車いすを自動運転化したベンチャーの挑戦
電動車いすの利用ターゲットは、障害者に限らない。普段は車いすを使わない人であっても、長距離を歩くのが辛い人が多いというのだ。
国土交通省の調べによると「無理なく休まずに歩ける距離」は、65歳以上の場合、「500mまで」という人が26%もいる。広い空港の場合、500m以上歩かなければならないケースも多い。そのため空港では、長距離を歩けない人への支援策を用意している。たとえば電動カートが巡回する空港もある。
しかし、それにかかる費用や人手を少しでも減らしたいのは、どこの空港でも共通の願いだろう。それを解決するのが、自動で貸した場所に戻ってくる電動車いすのWHILL自動運転システムとなるわけだ。
WHILLでは、2019年5月のアムステルダム・スキポール空港を皮切りに、11月の羽田空港とアメリカのダラス・フォートワース国際空港、12月にアラブ首長国連合のアブダビ国際空港とカナダのウィニペグ国際空港と、5つの空港での実証実験をのべ9回実施している。人ごみの中を自動でWHILL自動運転システムが無事に帰ってくることを確認したのだ。
その利用者は300人にもなり、ニーズが確かに存在することもわかった。そうした結果をもとに、WHILL自動運転システムを2020年度中に実用化する予定だという。
なぜ、WHILLが次世代モビリティを目指すのか?
WHILLは、2012年5月に設立したばかりのベンチャーだ。2014年に最初の製品「WHILL Model A」を発表。2016年に北米向けのモデルが、アメリカFDA認可を取得。
2017年には普及版となる「WHILL Model C」を発表。翌2018年に北米向け「WHILL Model Ci」を発売し、欧州でも「WHILL Model C」の発売を開始した。
今では日本とアメリカ以外にも、世界の12の国と地域で発売されている。新しい電動車いすメーカーとしては、順調そのものだ。
しかし、ここで自動運転にまで手を広げるのには、どういった理由があるのだろうか。
「それは“すべての人の移動を楽しくスマートにする“という弊社のミッションが理由です」と広報マネージャーの辻(一点しんにょう)阪小百合さんは説明する。
もともとWHILLは、20代のエンジニアやデザイナーが会社をまたいで作ったサークル的な活動からスタートしている。最初は電動車いすを作るつもりではなかったのだ。
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