次世代アイサイトを「自動運転」と呼ばないワケ 理論上は可能でもスバルの目標はそこにない
次世代アイサイトを、自動運転技術を活用した商品として見れば、アメリカ自動車技術会(SAE)が規定する「レベル0」から「レベル5」までの6段階のうち、「レベル2」に分類される。日産の「プロパイロット2.0」やテスラの「オートパイロット」もレベル2だが、現時点で次世代アイサイトはレベル2の中で最も高い評価ができる。
では、さらにそのうえ、運転の主体がドライバーであるレベル2から、運転の主体がクルマのシステムに移行する「レベル3」にスバルはいち早く到達できるだろうか。また、スバルは到達したいと思っているのか。
リアルワールドあってこそ
そのお膳立ては、もうできている。日本では、レベル3走行実現のための準備が整い始めているからだ。
内閣府を中心とした国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として、2020年に道路交通法一部改正が施行され、高速道路の合流地点や市街地交差点でのクルマとインフラとの通信による協調実証は進められている。また、アイサイトXが使用するよりさらに情報量が多い高精度三次元地図「ダイナミックマップ」も、高速道路約3万㎞で整備できた。
海外では、メルセデス・ベンツが9月上旬に発表した新型Sクラスで、「レベル4」となる車内無人での自動駐車を実用化。2021年下期には、高速道路で時速60㎞以下の状態でレベル3も実用化する。
こうした状況だが、スバルはレベル3の早期実用化を開発目標には設定していない。目指すのは、あくまでもリアルワールドでの事故を可能な限り減らすことだからだ。
そのためには人間工学、医学、IT、AI(人工知能)といった技術や理論をベースとするも、事故の実態をしっかり把握し、開発の理念を貫き、そして実験での実体験を地道に積み上げ続ける必要がある。それこそが、「スバルらしさ」であり、今後さらに厳しさを増す自動車産業の大変革期の中での、スバルが生き残るための正攻法なのだと思うのだ。
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