「子どものウソ」に悩む親に伝えたい意外な真実 嘘や汚い言葉は泥棒の始まりではなく成長の証
① 〈防御のうそ〉:叱られないためのうそです。1989年におこなわれた有名な研究では、隠しカメラとマジックミラーのある部屋で子どもを観察しました(本章では何度も同研究に言及します)。まず3歳の子を1人ずつ部屋に呼び、机に背を向けて座らせます。
そして、「これから机の上にプレゼントのおもちゃを置くけれど、見ないように」と伝え、調査員は部屋を出ます。子どもがのぞき見をしたら(ほとんどの子がした)、または5分経ったら調査員は部屋に戻り、「のぞき見をした?」と聞きます。
その結果、のぞき見をした子のうち38%が「見ていない」とうそをつきました。2002年におこなわれた同様の研究では、3歳児で54%、4~7歳児では4分の3以上の子がうそをつきました。小学校低学年くらいの子どもは、叱られたくない気持ちが強いのでしょう。
② 〈利己的なうそ〉:友達に「車を持ち上げられるくらい力持ちだ」「夕食にいつもクッキーを食べる」と言うなどのうそは〈背伸びのうそ〉とも呼ばれます。〈防御のうそ〉より少し高度なため、5歳以降に表れる場合が多いようです。
③ 〈白いうそ〉:儀礼的で利他的なうそです。研究によると、子どもの成長とともに〈利己的なうそ〉は減り、〈白いうそ〉は増えます。〈白いうそ〉には複雑な思考能力が必要です。思いやりをもって相手の気持ちを考え、自分の言動が相手の気持ちにどんな影響を及ぼすかを理解しなければなりません。
「クリスマスプレゼントがウールの靴下なんてイヤだ」と思っても、「それを口に出したらプレゼントをくれたおばさんが傷つくだろう」と理解する必要があるわけです。
仕方なくつくうそもある
汚い言葉同様、うそに関しても子どもは親の姿を見て学びます。親が〈白いうそ〉を促すケースさえあります。
以前こんなことがありました。休暇中、私たちは家族で屋内トランポリン場に行く計画を立てていました。ところが当日の朝起きると、娘が発熱していたのです。夫は息子に「2人で行こう」と誘い、娘が悲しまないように「用事があると言おう」と提案しました。
すると息子は驚いて、「パパ、それじゃうそになっちゃう!」と言いました。夫は気まずそうな様子でしたが、結局は娘にうそをついたようです(少なくとも大事な部分は伝えなかった)。子どもがかんしゃくを起こすのを防ぐために、仕方なくつくうそもあります。
(翻訳/塩田香菜)
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