「こういう人たちは、ダメ元で手当たり次第、お申し込みをかけているのでしょうか? 自分の年齢を考えてほしいですよね」
その言葉を聞いて、入会のときにあさみが「私、30歳を過ぎてからは、年下としか付き合ったことがないんです」と言っていたのを思い出した。
これは、あさみだけではない。アラフォー独身女性の多くがこのセリフを口にする。
ただ、冷静になって考えてほしい。その年下男性たちが結婚相手として年上女性を選ばなかったから、独身のまま今、ここにいるのだ。その現実をスルーしている。そして、昔と同じ基準で、今でもモテると勘違いしている。だから、年の離れた中高年男性からの申し込みが来ると憤るのだ。
ただ、あさみは年齢だけは譲れなかったようで、「年下か、なるべく歳の近い男性」という条件を変えなかった。
さらに「年収も800万円以上がいい」と言う。しかし、アラフォーで800万円以上年収のある男性は、アラサーとも見合いが組めるので、現状は厳しかった。そんななかでも、いくつかお見合いをしていったのだが、あさみから断ることが多かった。お眼鏡にかなわなかったのだ。
条件が揃った男性からは…
しかし、お見合いから交際に入ったまさよし(42歳、仮名)は違っていた。条件の厳しいあさみの気持ちが動いた。背は180センチ近くあり、学生時代はずっとスポーツをしていたというまさよしは筋肉質で、見た目も素敵、年収も800万円以上あった。
交際から1カ月が経った頃、あさみから、「ご相談したいことがあります」と連絡が入った。
面談室にやってきた、あさみが言った。「まさよしさんの気持ちをもっと揺さぶって、私に夢中にさせたいんですけど、なかなかうまくいかないんですよね」。
この強気は発言に、私は驚いてしまった。そこで言った。
「婚活って、どういうことかわかりますか? 婚活という市場に自分を棚卸しすることなんですよ。あさみさんと同じ年齢で、条件や見た目が素敵なライバルは、大勢いるんです。若くてきれいな女性もたくさんいます。“私に夢中にさせたい”というような上から目線で、お相手に対峙しても気持ちは手に入らない。気に入っていただけるように、もっと下から入っていって、どうしたら自分のことを好きになってもらえるのか、選んでもらえるのか、その行動を起こしていかないと」
すると、あさみは、不満そうに言った。「私、そんなことこれまでしたことないし、男性に媚を売るのは、そもそも苦手なんです」。
考えを改めるつもりはなかったようだが、そうこうしているうちに、男性から“交際終了”が来た。
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