私は成田空港や羽田空港で日本のトイレに再会したとき、トイレの個室の中で、「なんだかんだ言って日本って、いい国だよな……」と感慨深く独り言をつぶやく。
美しく快適な「ネオレスト」(大手トイレメーカー「TOTO」の高級トイレ)が国中のいたるところに配備されており、便座にも高級感と清潔感がある。海外のように便座が汚かったり、グラついていたりすることもほぼない。
もちろん、駅や公園のトイレは古く汚く臭いことも少なくないが、それでも空港や店舗についている「トイレの平均的水準」ないし「トイレの質の中央値」は、日本は世界最高峰である。
おまけに、あらゆる小さなお店にもちゃんとトイレがついており、無料の公衆トイレも他国に比べてそこら中にあり、「ちょっと、トイレに行きたくなったとき」に駆け込める清潔で美しいトイレが、日本の国土を埋め尽くしている。
アジアの大都市も「トイレ」では東京に完敗
それでは、そんな各国の「トイレの質」を比較してわかる「日本の素晴らしい3大特徴」を見てみよう。
【1】「平均所得」に反映されない「無料公共サービスの質」がバレる
じつは、このような「高水準のトイレを無料で使い放題の国」というのは、世界的にはまれだ。
フランスなどヨーロッパでは公衆トイレがそもそも少ないし、あっても1~2ユーロ払う必要があり、狭く汚かったりすることもザラである。
イギリスなどでは、ただでさえ多くはなかった公衆トイレが、維持費削減のために、さらに縮小されていることをご存じだろうか。
日本では、いくら財政赤字が拡大しようと、「トイレカット(公衆トイレを縮小してコストカット)」などという話は聞いたことがない。
香港などでは、お店の客以外は使えないように、やたらとキーがかかっていたりするものである。そして、お店の客からしても、他人がトイレに行くときに触るキーを持たされるのは、不衛生で微妙な気分になるものだ。
また、韓国では古いインフラのビルに入ると、便座が安そうでぐらついたプラスチックであることも少なくないし、排水管が古くて細いのか、「トイレに紙を流さないで」という但し書きとゴミ箱が置いてあることもある。
おまけに、日本ほどすべてのお店にトイレがあるわけではないので、隣のビルまでトイレを借りに行ったり、トイレ提携を結んでいるお隣のお店にトイレを借りに行ったりしなければならない。
韓国に「1人当たり所得」や「1人当たりGDP」では逆転されていても、「1人当たりトイレの質」では、日韓の差はなかなか埋まらないように思える。
日本人は意外に気づいていないかもしれないが、日本は「良質の水と空気とトイレは無料」という「社会的な暗黙の期待値」が極めて高い国なのだ。
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