イケアで働く人は「加点主義」で伸びていく! 「ダメ出し」からは才能は生まれない

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いろいろ考えたのですが、そのときに言われた「あなたを信じます」という言葉が心に響きました。だから、すぐに「やります!」と答えを出せた。こうした経験があるから、私も同じようにほかの人にもアプローチをするわけですよ。

加点で人を見て、それを積み重ねる

「talent」の見つけ方というのは、結局、「この人は何が強いのだろう」「何ができるのだろう」っていう“加点”ですよね。減点では絶対になくて、加点でつねに、日々見ていくことだと思います。

たとえば、失敗を責めるのではなく、建設的になること、失敗を恐れずに違うやり方にチャレンジしてみることが大事です。

イケアの創業者であるイングヴァル・カンプラードの言葉で、私たちのバイブルにも書いてある言葉に「人間が失敗しないのは、眠っている間だけです」というものがあります。つまり、失敗はどんどんしろ、と。失敗することでどんどん成長するし、それはプラスになること。

日本人は失敗を恐れると言われることがありますが、失敗しても命まで取らないから恐がらないで、というメッセージがそこにはあります。ただし、同じ失敗を2度繰り返すのは、それは本当の失敗だからいけない、というただし書きはつきますけどね。

話を戻しますが、「加点で人を見て、それを積み重ねる」という方針があるから、「あなたはこれが不得意だから、強化するために不得意なことをやりなさい」とは、あまり言われないのです。それよりも、得意なことに目を向けていきます。

私の場合だと、「しゃべるのが大好きだろうから、レイカがどんどん行け! もうレイカ中心でいいよ、君は得意なんだから!」って。そこまで言われると、実はそんなに得意じゃないかもしれないけれど、だんだんその気になるじゃないですか。

最初は小さな車しか運転できなかったけれど、そのうち「もうちょっと大きい車に乗ってみな」って言われて、最後は飛行機まで操縦している……。イケアは、そんな会社かもしれません。

それはやはり、失敗を恐れないでやるという精神が浸透していて、そのチャレンジを本気でサポートする気持ちがあるからだと思います。そういう土壌があると、本人もその気になる。だからできなかったかもしれないことができてしまう。それがイケアの強みだと思います。

そして、創業者が言ったことが1on1(1人対1人)で現在まで受け継がれていることも、この会社の不思議のひとつかもしれないですね。上のポジションにいた人が自分のtalentを見つけてくれたから、自分もマネジャーになったときはそうすると。

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