野口さん解説「宇宙の法律について知ってますか」 国連加盟国の半数以上が批准、宇宙5条約とは

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宇宙5条約には、宇宙飛行士が万が一の事故にあった場合に相互に助け合う「宇宙救助返還協定」や衛星やロケットで引き起こされる事故の場合の補償について定めた宇宙損害責任条約、打ち上げられた衛星などに番号をつけて登録する宇宙物体登録条約、月探査や活動に関する月協定が含まれています。批准国は後に作られた条約ほど少なくなり、また軍事衛星のように機密を含む衛星は必ずしも宇宙物体登録条約に添って登録されていないなど、ルールの適用状況は国によって異なる部分があります。

宇宙条約が決められた当時、宇宙活動の主体は国であり、民間が参入するといったことはあまり考えられていませんでした。そのため、条約の内容は宇宙活動に参加する国々の細かい事情に合わせたものではありません。

国家機関と民間が協力しあい、宇宙ステーションを作ったり、ロケット打ち上げのように飛行コースに多くの国が関係する活動を自分たちで実施できる国もあれば、他の国に頼んで人工衛星を打ち上げてもらう宇宙の新興国もあったりと、各国の宇宙活動の内容には大きな差があります。

また宇宙条約で、すべての宇宙活動は、NASAやJAXAのような宇宙機関であっても、あるいは民間企業が行うものであっても、最終的には国が責任を持つよう求めています。そこで、宇宙活動の状況に合わせた新たなルールや国ごとの国内宇宙法が必要になってきました。

ISSは公海上の多国籍船団

私が通算で335日滞在した国際宇宙ステーション(ISS)は、日、米、欧州、ロシア、カナダの世界5極が協力して存在する、世界に例を見ない国際協力のたまものです。ISSを構築し機能するために「国際宇宙ステーション協定」という相互協力の枠組みが設けられています。

この協定は厳密には条約や法律ではありませんが、宇宙条約に添ったISSのためのルール。さまざまな国の船が行き交う公海上で複数の国の船が船団を組んだ「多国籍船団」といった考え方を取り入れて決められています。

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