「オーストラリア火災」がここまで悪化した理由 気候変動を認めたくないモリソン首相
襟の開いたオーシャンブルーのシャツを着て頭にトロピカルブーケをかぶった南国ムードの首相のポスターがオーストラリア各地の通りに貼り出されている。
その見出しには「行方不明。母国が火事です」と書かれている。
直接これが何を意味しているのかは明白だ。スコット・モリソン首相は昨年12月、オーストラリアが史上有数の壊滅的な火災シーズンにさしかかろうかという時期に休暇をとってハワイ旅行に行き、それを隠そうとしていたことで大きく非難されている。
自国が火災なのにハワイで休暇
しかし、このメッセージはハワイでの休暇をはるかに超えたレベルに広がっている。怒りと恐怖を覚えたオーストラリア人は、地獄のような森林火災へのモリソン首相の無頓着で無能だと思える反応、そして気候変動という国民を真剣にさせた力をかたくなに見くびっていることに不満を爆発させている。
火が山間部から沿岸部へと燃え広がり数千人の人々が避難した1月上旬、温暖化が進む世界の避けられない現実と計算された怠慢の政治が衝突していた。
モリソン首相はオーストラリアが史上最も暑く乾燥した1年を終えたばかりであるにもかかわらず、気候変動と同国の極限環境条件の関連性を最小限に評価してきた。同首相は炭鉱の閉山要求を「無謀」だとして冷笑し、経済的利益と強力な圧力団体への忠誠を優先してきた。
そして、大部分のオーストラリア人が政府は一段と強力な行動を取るべきとの声を上げるなか、温室効果ガスへの課税や、削減のためのそのほかの重要な措置の実施に反対してきた。